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ビジネスモデルの主要素「誰に」を決めるところから事業企画に着手しよう。開発実績を精査したうえで会社方針と合致するターゲットユーザー選定が必須だ。それからユーザーの課題を社内外の知見を利用して抽出する。

 本連載は新規事業を立ち上げる方法を中心にお伝えします。新規事業の立ち上げには、「事業企画力」が決定的に重要です。顧客企業でのDX(デジタルトランスフォーメーション)実現のために、システム開発に従事している、あるいはIT系企業に勤めている皆さんのスキルや経験を生かして、ぜひ新規事業に取り組んでいただければと考えています。

 さっそく今回から事業企画力を身につけていきましょう。事業企画をどう立案したらいいか、パターンに分けて進め方を学んでいただきます。新規事業に携わっていないとしても、今の業務に生かせる内容が含まれていますので、ぜひお読みください。

「完全にゼロから」ではない

 新規事業は「ゼロからイチをつくる」ことだといわれますが、本当でしょうか。実は完全にゼロからつくることは難度が高く、筆者はそのやり方から着手しないようにしています。想像してみてください。何もない真っ白な状態で「何でもいいから事業のアイデアを考えろ」と言われたら困りますよね。

 どうすればいいのかというと、何か1つテーマを決めて、それを中心にアイデアを考えるのです。決めることによりロジカルな手順でアイデアを考えることができます。別の理由もあります。テーマが決まっていれば、チームで事業企画を作成する際に、各メンバーのアイデアの方向性が分散することなくアイデアメーキングの効果を最大限にできるのです(詳細は次回)。

図 テーマを決めない場合とあらかじめ決めた場合の違い
図 テーマを決めない場合とあらかじめ決めた場合の違い
アイデアメーキングの効果を最大限に
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 テーマには、ビジネスモデルの3要素である「誰に」(ターゲットユーザー)、「何を」(提供価値)、「どのように」(提供方法)のどれか1つを設定します。