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1人で課題を抽出したり解決策を検討したりするだけだと、結果は浅くなる。チームによる討議を重ねると練り込まれた良いアイデアが出る。システム面だけでなく業務フローの変更などを含めた広い視野で解決策を検討しよう。

 本連載では、企業の継続と発展に重要となる新規事業を立ち上げるための「事業企画力」を身につけていきます。顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向け、システム開発に従事している、あるいはIT系企業に勤めている皆さんのスキルや経験を生かして、ぜひ新規事業に取り組んでいただければと考えています。

 事業企画に向け、抽出した課題への解決策を検討する方法を説明します。

解決策の検討はチーム討議で

 ターゲットユーザーの課題を抽出したら、それらの解決策を検討します。ここがアイデアメーキングのキモとなる部分で、検討時に重要な条件があります。それは「複数メンバーでの討議が必須」であることです。

 課題の抽出についてもチーム作業が望ましいのですが、1人の作業でもある程度は可能です。しかし、解決策については、チームでなければ検討できないと考えてよいでしょう。なぜなら、1人で考えて解決策が浮かぶような課題であれば、既にどのユーザーでも解決しているはずで、課題自体が軽度だといえるからです。

 複数のメンバーが難しい課題をいろいろな切り口で考え議論し、あるメンバーが考えた解決策に対して矛盾やさらなる課題を他のメンバーが指摘し、また別のメンバーがその課題に対する解決策を提示する、という複数の思考が重なり導き出された解決策こそ価値があるものなのです。

 チームは全員が専任でなくても、メイン業務を持っているメンバーが兼任で編成してもよいです。ただ、工数はしっかり確保してください。特にリーダーとなる人についてはできれば専任が望ましく、専任でない場合でも半分以上の工数は確保し、主たる業務が新規事業の企画とする必要があります。

 他メンバーについても、残業時間だけでの対応となると進捗が芳しくないため、少なくとも25%(毎月1週間相当)以上の工数確保が必要です。

 また、できる限り異なる部門のメンバーで構成するほうがよいでしょう。なぜなら、実際に事業化した際には各部門の協力を仰ぐことになるので、その際に企画メンバーがその部門の窓口となって動いてくれるからです。

抽出した課題の存在を検証

 解決策を検討する前に、課題の検証作業を行います。

 まずその課題を抽出したメンバーが、課題の内容と抽出したプロセスを説明します。プロセスとは、どの情報源から得たどんな情報を基に、その課題があると判断したのかの流れです。その課題の大きさと、そう設定した理由についても説明します。

 説明を聞いた他メンバーが課題抽出に対する疑問や問題点があれば確認し、その内容について議論します。抽出した課題が、本当に課題として存在し得るのかどうか、また存在したとして設定した大きさであるかどうかを議論するのです。

 あるメンバーが自らの思考の枠内で課題を認識し、その大きさを設定しても、他の複数メンバーが考えると異なる観点が生まれます。「その課題は前提条件に問題があり、課題として存在しないのではないか」「その課題は大きいと設定されているが、対象業務が限定的なので影響はそれほどないのではないか」などです。

 それから各メンバーで抽出した課題のリストに対してチームで討議した結果、課題ではないと結論づけられたものは対象から外し、当初設定した大きさでないものは変更します。

 課題の大きさは、討議後に小さくなる場合がほとんどですが、まれに「この条件を考えると相当大きなものではないか」と評価されることもあります。その可能性も考慮して討議します。