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D2Cサービスを始めると事業成長や体制整備などで4つの課題にしばしば直面する。これらは一気に解決するものではなく、サービスの成長に沿って適宜対策していきたい。その際に打つ手はSTPDプロセスの徹底やSaaSツールの活用など8つある。

 D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)はデジタル技術を用いて、従来の企業と消費者の関係性や商品の売り方を大きく変えていくビジネスモデルである。その本質はデジタルの力を使って顧客の購買プロセス、購買経験を変革すること。D2Cにはテクノロジーも深く関わるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代のビジネストレンドとして、エンジニア視点からも理解しておきたい。

 前回は、D2Cサービスを開始した後で企業がしばしばぶつかる課題4つを紹介した。具体的には、(1)市場規模が小さく、成長に上限がある、(2)顧客の価値観、ニーズをうまく捉えられない、(3)初期投資がかさみ、回収に時間がかかる、(4)組織・人材面で体制が整っていない――である。

サービス初期は正確な顧客分析を

 これらの課題を乗り越えるためになすべきことは、サービスの成熟度合いによって異なる。今回はD2Cサービスの立ち上げ期、発展期ならびに成熟期と順を追って課題に対処する方法を8個紹介する。

STPDプロセスの繰り返しを徹底

 まずD2Cサービスの立ち上げ期には、以前紹介したSTPD(See、Think、Plan、Do)の「See」「Think」のプロセスを「Plan」プロセスの前に徹底的に実施する。「See」はサービスを通して蓄積したデータを分析しやすい形に整形するプロセスである。顧客の実態を捉えるため、Webサイトやアプリケーションの利用履歴、アンケート、定性的インタビュー、行動観察など様々な手法でデータを集める。さらに「Think」「Plan」プロセスでデータを分析・解釈しやすいよう、必要なデータを適切な形に整えて集約しておく。

 「Think」は整備したデータを分析し、サービス改善に向けた洞察(インサイト)を得るプロセスだ。D2Cでは顧客のニーズの変化に合わせてサービスも改善し続ける。

 そのため立ち上げ前だけでなく、サービス開始後も定期的にSTPDのサイクルを繰り返すことが重要だ。「See」「Think」を定期的かつ徹底的に実施することで「(2)顧客のニーズを捉えられない」課題に対応できる。

SaaSなどのツールを活用

 サービスの立ち上げや改善を素早くするため、システム構築にはSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)などのツールを活用したい。SaaS採用によって立ち上げ時期にかかるコストやリソースを効率化し、「(3)初期投資の回収に時間がかかる」課題に対処する。

適切な人材を集める

 STPDの徹底やSaaSの活用を進めるため、D2Cにはマーケティングプロセス、デジタル技術にそれぞれ精通したメンバーが欠かせない。とはいえ、大企業などでDXの一環としてD2Cを始める場合、「(4)組織・人材面で体制が整っていない」という課題があり、D2C担当部門内部にこうしたメンバーをそろえられないケースもある。

 この場合、社内のマーケティング部門や情報システム部門と協力する。特に立ち上げ時期や、事業規模を拡大する時期などの節目において、情報システム部門が果たす役割は大きい。

 今後の自社サービスに合ったSaaSはどれか、どのようなシステム基盤を作ればスケールメリットが得やすいか、顧客体験や商品の拡張・改善に生かせる最新技術は何か――。事業部門からの質問に答えるだけでなく情報システム部門側から積極的に提案できるのが望ましい。

 なお他部門にD2Cビジネスを理解してもらい、協力を取り付けるには手間がかかる。そのため、D2C事業の担当部門にはD2Cサービスそのものに思い入れを持ち、積極的にプロジェクトを進めるメンバーが必要だ。