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先が読めないDXの時代においてIT部門の人材はどこを目指すべきか。過去の技術や考え方に固執せず変わっていく必要がある。「老いない」人材に求められるスキルセットと変化のための仕組みを探る。

 組織が変わっても、中の人材が古いスキルセットや考え方に固執していては「人材の老化」は免れない。DXの時代に合わせて、IT部員に必要なスキルを「再定義」した企業がAGCだ。

 同社は2018年、「時代の変化に合わせて目指すべき人材像を大幅に見直した」(秋葉晴夫情報システム部企画管理チームリーダー)。

 それまで同社のIT部門は「業務改革の推進役」や「一人前のプロジェクトマネジャー」を目指すべき人材としていたという。しかしITとビジネスの融合が進み、同社自身も2014年から約4年がかりでSAPの基幹システムをAWSに移行するなどの経験を積む中で、従来の枠組みを越えた人材像を定義し直す必要があると判断した。

 新しい定義は、技術とビジネスの2軸を使って人材像を4象限に分類した。既存技術でシステムの構築や運用に注力する「オペレーショナルエクセレンス推進型」、企画や立案力を強化する「ビジネス革新推進型」、先端技術を追求する「先端技術推進型」、企画力と技術力を兼ね備えた「イノベーション推進型」である。

図 AGCが導入した人材の定義
図 AGCが導入した人材の定義
目指すべきIT人材像を再定義
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 特徴は「イノベーションを起こすことを念頭に置いている」(秋葉チームリーダー)点だ。いわゆる従来型の人材はオペレーショナルエクセレンス推進型である。そこからまずは、企画力を伸ばす方向と技術力を伸ばす方向に分かれる。

 企画力を伸ばすためには社内外のセミナーを活用する。若手社員向けには標準プログラムを定めているが、最低限の知識やスキル習得が目的のもの以外は固定せず、自由に選択できるようにしているという。

 特徴的なのは技術力を高めるための「アジャイル開発センター」と呼ぶ取り組みだ。AGCのIT部員がパートナー企業のベンダーに通い、自ら課題や案件を提案。ベンダーの社員に知識や技術を教わりながらPoCなどに取り組んでいる。

 通常の業務に加え1週間に1度ほどのペースで「課外授業的」に実施しているという。例えば、「業務に必要な知識を効率良く引き出せるチャットボット」などをAGCの社員が企画・開発した。アジャイル開発センターで手掛けた案件が本社のプロジェクトレベルに育った例もあるという。

 「実際に手を動かすことでアジャイルなどの開発手法や先進技術に対するアレルギーをなくす」。秋葉チームリーダーは狙いをこう話す。

 こうしてビジネスと技術それぞれの分野で「尖った」人材が育ったところで、協働によりシナジーを狙う。「異なる要素を持つ人材同士が組み合わさることでイノベーションが起こる」(秋葉チームリーダー)からだ。

 AGCの情報システム部門は約90人。情報子会社は持っていない。現状の内訳は、オペレーショナルエクセレンス推進型が過半数を占める。ビジネス推進型と先端技術推進型がそれぞれ1割ほど。イノベーション推進型人材の育成も急ぐ。

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