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DXをけん引し、新事業を開拓するコア人材の育成に、多くの企業が取り組んでいる。どんな人材像を設定し、どうやって社員を選び、どういう教育を施すか。三菱UFJ銀行やJFEスチール、資生堂など先行企業5社の取り組みを見ていこう。

 DX(デジタル変革)をリードするコア人材を獲得するには、専門人材を外部から採用するのが手っ取り早い。しかしそれだけでは必要な人材を充足できない。国内にDXの人材が不足しているのに加え、DXの取り組みを拡大するには業務知識が必要だからだ。

 そこで先進企業は、DXのコア人材や、DXで生み出した新しい事業や業務を担当する専門人材を社内育成する動きを加速させている。三菱UFJ銀行、北国銀行、クレディセゾン、JFEスチール、資生堂の取り組みを紹介する。

三菱UFJ銀行
コア人材のスキルを定義 候補になる若手も育成

 三菱UFJ銀行はデジタル技術を活用して同行が置かれる厳しい競争環境に対応するため、行員のリスキリングと外部からの専門人材採用に両輪で取り組んでいる。特に力を入れるのがリスキリングだ。

 荻原俊輔人事部人事グループ上席調査役はその理由について「銀行のビジネスを理解している人材であれば現状抱えている課題を見いだしてデジタルを活用できる。銀行にはまだ紙をベースにした従来業務も多い。そういう足元の業務をデジタル技術で着実に効率化したい」と話す。

 全行員を対象としたデジタルリテラシーの教育と、コア人材を対象とした専門スキル教育を並行して進めている。全行員の教育はeラーニングを用いる。さらに、指定した外部資格の取得者に対して行内称号を付与し、条件を満たせば3年間で最大90万円を支給し、モチベーションを高めている。

 それ以上に力を入れるのはコア人材の育成だ。「ビジネスに加え、テクノロジーやデザインのスキルも身に付け、DXをけん引する人材」と定義。銀行業務の知見や実務経験を意味する「ビジネス」に加え、AIやデータアナリティクスなどの「テクノロジー」、または顧客体験設計力や顧客接点設計力である「デザイン」を身に付ける必要があるとした。

図 三菱UFJ銀行におけるDXのコア人材像
図 三菱UFJ銀行におけるDXのコア人材像
DXのコア人材に求められるスキルを定義(出所:三菱UFJ銀行の資料を基に日経コンピュータ作成)
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