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日本の教育機関にもAI人材の輩出力を高める動きが出てきた。大学でAI専門学部の創設が相次ぎ、高校生はコンテストに挑む。滋賀大学と富山国際大学付属高等学校を例に人材育成の勘所を探る。

 ビジネスや社会に潜む真の問題を見いだし、データを駆使して解決に導く。この「問題発見・解決力」はAI人材に必要だが簡単には身に付かない。

 そこで2~3年かけて問題発見・解決力をじっくり伸ばす試みが日本の教育機関で進んでいる。こうした取り組みに企業が協力すれば、AI人材の供給力を高められる可能性がある。

滋賀大学は企業のデータで訓練

 「AI時代の問題解決プロフェッショナルを育てる」。大阪ガスのデータ分析チームを長らく率いた河本薫氏はこうした目的を掲げ、2018年4月から滋賀大学のデータサイエンス学部教授として学生にデータ分析を教えている。

 河本教授はゼミで2019年4月から半年にわたり、インテージから提供を受けたマーケティング関連の実データを基に「商品の販売数をいかに増やすか」という課題を解く実習の機会を与えた。有効な方法論は何かを含め、12人の学生に考えさせる。2019年7月末に実施した最終プレゼンテーションにはインテージと電通の担当者も参加し、厳しい質問を投げかけた。

「データを使った問題解決」の課題への取り組み結果を報告する、滋賀大学の学生たち(右の3人)(写真提供:河本薫氏)
「データを使った問題解決」の課題への取り組み結果を報告する、滋賀大学の学生たち(右の3人)(写真提供:河本薫氏)
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 同ゼミは半期ずつ4回、合計2年にわたり製造またはマーケティングの問題解決テーマを学生に与えている。

 河本教授は問題解決型のAI人材を次のように語る。「顧客が抱える問題を発見し、AIで解ける課題として設計する能力が求められる」。このスキルを通常の座学で教えるのは難しく「実習が必要だ」(河本教授)という。

 そこで始めたのが、企業の実データを使った問題解決実習というわけだ。

 実習に当たって河本教授が重視するのは、最初に現場に行くことである。マーケティングであれば店舗を、製造であれば生産の現場を学生と視察する。「データから入る教育では健全な価値観を身に付けられない」(河本教授)との考えに基づく。

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