
米IBMが約4兆円を投じ米レッドハットの買収に動いた。創業108年目、過去最大規模の巨額買収は危機感の表れでもある。
クラウドのシェアは米アマゾン・ウェブ・サービスの約30分の1にとどまり、新たな収益源と見込むAIのWatson(ワトソン)も期待ほど伸びていない。日本では上客が脱メインフレームとアウトソーシングの契約縮小に乗り出す。
業績低迷に苦しむ盟主は、巨大ゆえに滅びた恐竜の命運をたどるのか。それとも哺乳類のように環境変化に適応して、新たな進化を遂げるのか。
米IBMが約4兆円を投じ米レッドハットの買収に動いた。創業108年目、過去最大規模の巨額買収は危機感の表れでもある。
クラウドのシェアは米アマゾン・ウェブ・サービスの約30分の1にとどまり、新たな収益源と見込むAIのWatson(ワトソン)も期待ほど伸びていない。日本では上客が脱メインフレームとアウトソーシングの契約縮小に乗り出す。
業績低迷に苦しむ盟主は、巨大ゆえに滅びた恐竜の命運をたどるのか。それとも哺乳類のように環境変化に適応して、新たな進化を遂げるのか。
米IBMが一世一代の勝負に出た。企業向けLinuxを提供する米レッドハットを約340億ドルで買収する。起死回生を狙った大型買収は、IBMがかつてなく追い込まれていることを暗示する。
売上高は6年で約3割減り、2015年度に失った業界最大手の座は遠のきつつある。時価総額は5年で4割程度減り、IaaSの世界シェアは1.9%とAWSの27分の1だ。いまだ浮上の足掛かりをつかめない米IBMの姿がデータから浮き彫りになった。
2011年、米人気クイズ番組の優勝者に勝利し、華々しく登場したWatson。日本でも2015年以降、金融機関を中心に採用ラッシュが起こった。しかし、利用企業は期待と現実の差を埋められず、産みの苦しみに直面する。
米IBMのメインフレームは今も収益に大きく貢献している。しかし、需要減の荒波に逆らうことはできず、「氷河期」はゆっくりと忍び寄る。アウトソーシング契約を見直す企業もあり、脱IBMが加速する危うさを秘める。
古巣の苦境ぶりを横目に、日本IBMのOB・OGは今も様々な企業で活躍している。日本のIT業界と、企業のIT活用を牽引するリーダーがズラリと並ぶ。「昔は人材輩出企業、今は流出企業」との声もあり、古巣の復活が望まれる。
米IBMは事業構造の転換に向け、大なたを振るっている。米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などライバルの台頭という環境変化を前提に戦略を刷新した。生き残りに向けてなりふり構わず進むが、残された時間は多くない。