クラウドのシェアは米AWSの約30分の1にとどまり、新たな収益源と見込む「Watson」も期待ほど伸びていない。米IBMは、巨大ゆえに滅びた恐竜の命運をたどるのか。
売上高は6年で約3割減り、2015年度に失った業界最大手の座は遠のきつつある。時価総額は5年で4割程度減り、IaaSの世界シェアは1.9%とAWSの27分の1だ。いまだ浮上の足掛かりをつかめない米IBMの姿がデータから浮き彫りになった。
IBMは2017年度まで6年連続減収で、2015年度にはマイクロソフトに業界王者の座を奪われた。この間に売上高は26%減った。減収は富士通の8%を上回る。
AI(人工知能)システムのWatsonなどを含む「コグニティブ・ソリューション」の売り上げ構成比は2割程度にとどまる。アウトソーシングを含む「テクノロジー・サービス&クラウド・プラットフォーム」やコンサルティングなどの「グローバル・ビジネス・サービス」がいまだ主力だ。
ライバルのマイクロソフトやアマゾン・ドット・コム、グーグルを傘下に持つアルファベットは時価総額を大きく伸ばす一方、IBMはこの5年で4割程度下げた。マイクロソフトの7分の1以下の水準にとどまり、株式市場の評価は低迷している。