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DXの検討が増えるなか、レガシーシステムの存在が足かせになってきた。長い間維持してきたレガシーシステムをどう活用すればDXはうまく進められるのか。レガシーシステムを活用しながら「継続的に進化し続けるDX基盤」を構築する必要がある。

 さまざまなところでDX(デジタルトランスフォーメーション)の話題に触れる機会が増えてきた。経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とある。

 現在、企業で業務やサービスを提供するために稼働させているシステムは、業務プロセスに対して個別に最適化し品質を重視した、いわゆる“落ちないシステム”を実現するモノリシックな構成となっていることが多い。システムで処理されたトランザクションデータは巨大なデータベースに整合性のとれた状態で蓄積されている。

 本連載では、こうしたレガシーなシステムや資産を活用したDX推進の方法をステップを追って解説する。今回は、DX基盤を継続的に進化させる「リビングシステム(Living System)」の考え方を紹介。それを踏まえて、レガシーシステムの課題から、どういった技術を取り込むべきかを解説する。

蓄積したデータに新技術を融合

 DXの手法の1つとしてIoT(インターネット・オブ・シングズ)やAI(人工知能)の技術を導入して機械学習のアルゴリズムでデータ分析し、さまざまな気づきを得るためのシステムを構築することが挙げられる。現在、既存システムやさまざまなデバイスからテキストデータに加えて、画像、音声、動画データなど、多種多様なデータをとれるようになった。

 それらのデータを収集、分析して新しいビジネスプロセスの創出や業務改善、ビジネスモデルの変革、新規事業の立ち上げにつなげられる。DXを推進するには、これまで構築したシステムと蓄積したデータ、新しい技術を融合させて、顧客や従業員の期待を超える新たな価値を創出するなど、これまで気づけなかったことを的確かつ迅速に発見することが重要だ。

繰り返されるシステム再構築

 新興企業は設立時から新しいテクノロジーを至る所に取り入れ、社内のさまざまな業務プロセスやサービスのアーキテクチャーやアプリケーションを迅速かつ柔軟に変更できるようにしている。

 一方、ほとんどの企業は顧客向けサービスや従業員が業務で使用する大規模なシステムを、プランニングからアーキテクチャー、ソリューションを選定し数年かけて構築してきた。システムはメインフレームやサーバー、OSで基盤を構築し、その上にサービスや業務に適したパッケージソフトを導入したり、Javaや.NETなどのオープンな技術を使ってカスタム開発したりしている。システムが稼働開始した瞬間、そのシステムはそのときの最新状態でありビジネスへの貢献はピークとなる。ただ、そこからの変更が鈍化する。

 基幹システムの変更の足かせとなっているのが、パッケージソフトのバージョンアップやカスタム開発で使われているソフトの保守、サポート終了による対応である。ベンダーからサポートを継続して得るにはバージョンアップが必要になる。一度構築したシステムを維持して運用するために、数年周期で膨大な時間と費用をかけて大規模なシステム再構築を繰り返してきた。

 再構築プロジェクトの期間中は仕様を凍結するので、ビジネスの変化への対応や新しいITを使った取り組みへの着手が難しくなる。やがてこれらのシステムが何年も使われレガシーシステムとして残ることになる。