りそなホールディングスは顧客接点改革の中心に「アプリ」を据えた。スマートフォンやタブレットのアプリを中核に、デジタルと店舗を融合。顧客とは非対面で「薄く広く長く」つながる関係を構築する。
「新しいりそなの価値をここで作っていく」。2020年11月6日、埼玉県所沢市の文化複合施設「ところざわサクラタウン」に開設した新拠点「りそなグループセルフプラザ」の朝礼の場で、埼玉りそな銀行の福岡聡社長はこう力を込めた。
新拠点はりそなホールディングスが描くデジタルと店舗の融合を体現する場所といえる。ソファなどを配したスペースに「セルフ端末」と呼ばれるタブレット端末を3台配備。顧客はセルフ端末を使って、住所変更など各種手続きを完結できる。
普段は無人だが、週3~4日は埼玉りそな銀行から行員が出向いて、セルフ端末の操作などをアドバイスする。「セルフ端末で顧客の全ての要望に応えられる世界を目指す」(りそなの新槇祐輔オムニチャネル戦略部グループリーダー)。
実はセルフ端末に搭載しているアプリは、残高照会や振り込みといった機能を備える、りそなが2018年2月に提供を始めたスマートフォン向けの「りそなグループアプリ」がベースになっている。セルフ端末は顧客にグループアプリのダウンロードを促す機能も備えており、手持ちのスマホでも口座とのひも付けなどを済ませればアプリを使い始められる。セルフ端末がグループアプリの利用を促す「入り口」の役割を果たす。
りそなはグループアプリを軸に、デジタルチャネルはもちろん、銀行の店舗のあり方そのものを見直そうとしている。一連の改革で、単に事務処理の効率化にとどまらず、顧客接点の変革にまで踏み込む。りそなの南昌宏社長は「リアルチャネルとデジタルチャネルを融合し、新たなビジネスモデルを作っていく」と強調する。