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DXでは、効果や実現性の高い新しい仕組みを早期に実現することが有効だ。新しい仕組みを定着させるには、継続的な仕組みの改善が必要である。推進体制にはコミュニケーション力の高いアナログ人間を参加させる。

 デジタル技術を使って業務のやり方を改革する「業務改革型DX(以下DX)」に取り組む際の考え方や進め方を解説してきた本連載も、いよいよ今回が最終回です。

 今回は前回に引き続き、DXの推進を任されたエンジニアが陥りやすい失敗について「やってはいけない」という形式で解説します。

 前回は、DXの推進に不安を持ち過ぎない、実現手段の制約を決めずに取り組まない、現場の中心人物というだけでメンバーを選ばない、という3つの「やってはいけない」について解説しました。

 今回は、DXで実現する範囲を決めるとき、新しい仕組みを定着化するとき、DXの推進メンバーを選ぶときに陥りやすい3つの「やってはいけない」を解説します。

 今回も日経ITソリューションズの中堅SEである村山さんが担当する架空の事例を交えて学んでいきましょう。

 日経ITソリューションズの村山は、マイルス精工の「工場DXプロジェクト」が終了した報告と、これまで数々のアドバイスを受けてきたお礼を述べるため、先輩SEの工藤を訪ねていた。工藤は、村山が尊敬する、社内で名の通った超上流工程のエキスパートである。

 その際に村山は、従来のIT化を支援してきたSEがDXに取り組むときに気をつけるべき点を尋ねられ、自身の考えるポイントを3つ答えていた。

「たしかにDXでは、従来のシステム化以上に業務部門のメンバー選びに気をつけないといけないね」

 工藤がうなずきながら言った。

「そう思います。マイルス精工の案件では1人の現場メンバーの対応にだいぶ苦労しました」

 村山は、当時のことを思い出しながら苦々しい表情で答えた。

「他にもDXを進めるときに気をつけることはあるかな」

「はい。まだいくつかあります」

 村山が表情を戻して答えた。

「ぜひ教えてよ」

「DXでは実現する範囲を段階的に決めたほうがいいと思います」

「それはどういう意味かな。詳しく教えてよ」