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DX成功に向けて「何のために、何をDX化するか」を関連部門と合意する。そのためには関連部門のキーパーソンを巻き込んだ検討体制を作ることが重要だ。今回は検討体制など要件定義の実行計画の作り方を解説する。

 事業のグローバル化、ライバル企業との競争激化、労働人口の減少などにより、企業には新たな付加価値の提供や生産性の向上が求められています。そのような状況の中、DX(デジタルトランスフォーメーション)は多くの経営幹部や上位管理者から業務改革の重要な実現手段として注目されています。ところが一方で、業務部門やIT部門はDXの取り組みに積極的ではありません。

 経営層と業務部門やIT部門のギャップを埋めるには、要件定義の段階で「何のために、何を、どういう順番でDX化するか」を経営層、業務部門、IT部門などのDXの関連部門が十分に合意しておく必要があります。そのため要件定義フェーズでは、合意しておくべき関連部門のキーパーソンを巻き込んだ検討体制を作ることが重要です。

 今回は、検討体制など要件定義フェーズの実行計画の作り方と、DXの推進方針や実行計画を社内でオーソライズする方法を解説します。

図 手順2「実行計画の作成」、手順3「方針・計画のオーソライズ」と進める
図 手順2「実行計画の作成」、手順3「方針・計画のオーソライズ」と進める
要件定義ステップ1「方針と実行計画の立案」の手順
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 前回までと同様に、現在DXプロジェクトを担当しているITベンダーの中堅SE村山さんの架空のストーリーを交えて学んでいきましょう。

 日経ITソリューションズの中堅SE村山は、顧客であるマイルス精工から依頼を受け、「工場DXプロジェクト」の要件定義を支援することになった。現在、業務部門のメンバーを集めて4月から正式にプロジェクトを立ち上げるための準備を行っている。

 まずマイルス精工の生産本部の責任者である高橋本部長からヒアリングした内容を基に、工場DXの推進方針を整理した。そして、その内容を高橋本部長にレビューし、工場DXプロジェクトの推進方針をフィックスさせた。

 村山はその報告のため先輩SEの工藤を訪ねた。工藤は、社内で名の通った超上流工程のエキスパートだ。

「工場DXプロジェクトの推進方針がまとまりました」

「そうか!工場DXに取り組む狙いは明確になったかな?」

 工藤が温和な表情で聞いた。

「はい。中堅・若手の作業効率や作業品質を上げてコストやトラブルの発生を抑えることが狙いのようです」

「そうか。これまでモノ作りを支えてきた熟練工の高齢化は多くの企業で問題になっているからな」

 工藤がうなずきながら言った。

「次は要件定義フェーズの実行計画を作成します」

「プロジェクトに参加してもらうメンバーを慎重に選ぶことが重要だよ」

「どういうメンバーを選んだらいいのでしょうか?」

 村山が真剣な表情で質問した。

「DX推進に関連する部門のキーパーソンを選ぶことだよ。詳しく説明しよう」