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「アナログプロセスの形式化」と「アナログ情報のデータ化」。デジタル技術を使った解決策を検討する際に有効なアプローチだ。今回はITエンジニア主体で解決策を検討する方法を中心に解説する。

 DXを成功させるには、新しい仕組みを構築する前に、「どの業務を、デジタル技術を使ってどう変えるのか」を明らかにして、業務部門から合意を得ることが重要です。それがステップ4「課題解決策の立案」の役割です。

 解決策を検討する際には、「アナログプロセスの形式化・標準化」と「アナログ情報のデータ化・活用」という2つのやり方が有効です。前者では、これまで形式化されていなかった業務遂行力の高い社員の知恵を形式化して新しい業務の仕組みに取り入れます。後者では、業務の遂行に役立つこれまで情報システムで管理されていなかったアナログ情報をデータ化し活用します。

 今回は、この2つのやり方を使って解決策を検討する方法を中心に解説します。いつものように日経ITソリューションズの中堅SE村山さんが担当する架空の事例を交えて学びましょう。

 マイルス精工の「工場DXプロジェクト」を担当する村山は、超上流工程の熟練者である先輩SEの工藤から、課題の解決策を作成する方法について教えを受けている。

「現行業務の改善ポイントを見つける方法が理解できました」

「改善ポイントを押さえておくと解決策が検討しやすいよ」

 工藤が穏やかな表情で言った。

「他に解決策を検討する際に良いやり方があったら教えてください」

「DXならではの解決策の検討方法が2つある。アナログプロセスの形式化とアナログ情報のデータ化だ」

「なんですかそれは!」

 村山が目を輝かせて聞き返した。

「了解。詳しく説明しよう」