DXはデータを蓄積・活用することで徐々に成果を上げる取り組みだ。構築~導入~定着化~成果創出の各段階でKPIを設定して計画的に進める。今回は、DXで確実に成果を創出するための推進計画の立案方法を解説する。
デジタル技術を使って業務のやり方を改革する業務改革型DX(以下、DX)は、多くの企業にとって新しい取り組みです。業務部門はDXに不安を持ち、積極的ではないことがあります。
そのため、要件定義で検討した業務やシステムを現場に展開して成果を上げるには、それ以降の推進計画を慎重に検討する必要があります。
今回は、DXの要件定義フェーズ最後のステップであるステップ6「DX推進計画の立案」の進め方を解説します。いつもの通り、日経ITソリューションズの中堅SEである村山さんが担当する架空の事例、マイルス精工の「工場DXプロジェクト」の事例を交えて学んでいきましょう。
日経ITソリューションズの村山は、マイルス精工のシステム部門と一緒に検討したデジタル化要件を業務部門の代表者であるプロジェクトリーダー(PL)と検討メンバーにレビューして承認を受けた。その報告に、先輩SEの工藤を訪ねた。工藤は、社内で名の通った超上流工程のエキスパートだ。
「PLと検討メンバーからデジタル化要件の承認をもらいました」
「そうか!業務部門からPoC(概念検証)の協力は得られそうかな」
「はい。検討メンバーの所属する部署が協力してくれるそうです」
村山がうれしそうに言った。
「それはよかった」
工藤が笑顔でうなずいた。
「次はいよいよ後続フェーズの推進計画を作ります」
「DXではすぐに効果を出すことが難しい。推進の段階に応じてKPI(重要な評価指標と目標)を設定することが重要だよ」
工藤がしっかりとした声で言った。
「詳しく教えてください」
「OK。説明しよう」