
予想できないことばかりが起きた2022年が終わり、何が起こるか分からない2023年が始まった。インフレや景気低迷、米中対立など警戒すべきリスクは増える一方だが、希望を失う必要はない。テクノロジーの進歩は止まらないからだ。想定されるリスクへの備えを進めると同時に、次なる成長を目指した準備が欠かせない。企業のデジタル変革を担う実務者は何に目を配るべきか。混迷の時代のその先を、編集部が予測する。
混迷の時代の先を読む
予想できないことばかりが起きた2022年が終わり、何が起こるか分からない2023年が始まった。インフレや景気低迷、米中対立など警戒すべきリスクは増える一方だが、希望を失う必要はない。テクノロジーの進歩は止まらないからだ。想定されるリスクへの備えを進めると同時に、次なる成長を目指した準備が欠かせない。企業のデジタル変革を担う実務者は何に目を配るべきか。混迷の時代のその先を、編集部が予測する。
社会リスク
2023年に向けて企業が備えておくべき「想定外」は何か。ロシアによるウクライナ侵攻は避けられるとの見方が2021年時点では大勢だったが、2022年には現実となった。
デジタル庁
2023年はデジタル庁が各府省庁や自治体、ITベンダーと連携して、情報システム基盤の共同利用をスムーズに進められるか否か、試される年になる。焦点は「ガバメントクラウド」だ。70弱システムをガバクラへ移行
宇宙テック
2023年は日本企業が開発した「SAR衛星」による「コンステレーション(星座)」の整備が始まる。これによって事業会社による地球観測データの様々な活用が、日本においても加速しそうだ。
スタートアップ育成
2023年は岸田文雄内閣の目玉政策である「スタートアップ育成5か年計画」が本格的に始動する。2022年12月2日に成立した2022年度第2次補正予算にはスタートアップ関連の施策が約1兆円計上された。過去最大規模の予算を背景にスタートアップの創出や育成が進むことになりそうだ。
データセンター
クラウド需要の高まりを背景に、データセンターの新設は2023年以降も続く。日経コンピュータがデータセンター事業を手掛ける約40社に対し、2023年から2025年にかけてのデータセンターの新設・増設の予定を調査したところ、「予定がある」と回答した企業は16社あった。
銀行勘定系システム
広島銀行は現状、福岡銀行などを傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(FG)と「Flight21」という陣営を形成し、基幹系システムを共同運営している。しかし2030年度にこの枠組みから離脱し、横浜銀行が中心の「MEJAR」に乗り換える方針だ。
量子コンピューター
2023年は国産ゲート型量子コンピューターの「稼働元年」になる。実機が稼働することで、量子コンピューターの性能向上や実用化に向けた研究開発の加速が期待できそうだ。
日本のIT業界
日本のIT業界はいつになったらまっとうな姿に変わるのか。あるいは本当に変わり得るのか――。
キャッシュレス決済
日本でキャッシュレス決済が浸透して久しく、コンビニやレストラン、ホテルに至るまで多くの店舗において、レジのそばにICカードリーダーなどの決済端末が設置されるのが当たり前になった。さらに2023年には顔認証を用いた決済の普及によって「レジにカメラ」が当たり前になるだろう。
セキュリティー
2022年もサイバー攻撃が相次いだ。特に大きな被害をもたらしたのがランサムウエア攻撃だ。この傾向は2023年も継続する。
RPA
2023年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、クラウドサービスとして提供する自動化プラットフォームの1つに進化し、業務やシステムの見直し手段として注目度が高まりそうだ。
ソフトウエア開発
ソフトウエア開発になくてはならない道具が「プログラミング言語」である。コンピューターに理解できる言葉、すなわちプログラムを記述するための言語だ。2023年には「Rust」というプログラミング言語が本格的に普及すると考えている。
APN(All Photonics Network)
2023年、世界の通信インフラの常識を変える次世代の通信サービスが日本で始まる。NTTグループが3月に商用化する超低遅延の専用線「APN(All Photonics Network)サービス」だ。
モバイル
「魔の3年の終わりがようやく見えてきた」――。ソフトバンクの宮川潤一社長がこう表現する通り、携帯大手3社は2021年の官製値下げの減収影響からいよいよ抜け出しつつある。2023年は競争激化につながる要素も見当たらず、強いて挙げれば「MNP(モバイル番号ポータビリティー)のワンストップ化」ぐらい。
PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)
2023年はPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の活用が進む。PHRとは健康診断の結果や処方薬情報、個人で日々測定する歩数や血圧のデータなど、個人の生涯にわたる健康医療情報のことだ。PHRを多様な企業が活用することで、個人の健康状態をより適切に反映した診療や健康サービスの提供が可能になる。
GAFA
2023年は米グーグルの本業である「Google検索」を脅かす挑戦者が台頭する可能性がある。巨大言語モデルを使う質問応答エンジン「ChatGPT」の進化版が相次ぎ登場しそうだ。