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 2020年から2年にわたって大いに世界を揺さぶった新型コロナウイルス感染症。だが世界はいつも危機に面したときにこそより前に、より強く進んできた。2022年からは人々の生活や社会、働き方などが3次元仮想空間に入り込む。舞台となるのが「メタバース」だ。

 メタバースは超越を意味する「メタ(meta)」と、宇宙や空間を意味する「ユニバース(universe)」を組み合わせた言葉で、主にインターネットに構築した巨大な3次元の仮想空間を指す。多くの場合、ユーザーはヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)を装着し、分身キャラクター「アバター」として仮想空間に入り込む。アバターはメタバースの中で街を散策し、ショッピングし、他のユーザーとコンサートに参加するなど、思い思いの時間を過ごす。

 SNS(交流サイト)やビデオ会議など従来のITツールにおけるコミュニケーションの「主役」は文字と映像主役だった。メタバースではそこに3次元で表現されたアバターの表情やしぐさなども加わり、会話のニュアンスなどがより自然に相手に伝わる。

 技術の発展で仮想空間の臨場感も高まっている。活動の場をSNSからメタバースに移す人が増えれば、そこに新たな経済圏が築かれる可能性がある。

国内外に「新世界」続々

 現在の「メタバース熱」をけん引しているのは米国のITプラットフォーム企業だ。米フェイスブックは2021年8月に「Horizon Workrooms(ホライゾンワークルーム)」というビジネス向けメタバースのベータ版を立ち上げると、2021年11月には社名を「メタプラットフォームズ」に変更すると発表。マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)が「SNSを超えるネットワーキングサービスを目指す」とぶち上げ、社名までメタバースに寄せたわけだ。これにより、メタバースは一気に世界の注目を集めるようになった。

図 国内外のメタバース関連サービス
図 国内外のメタバース関連サービス
「プラットフォーマー」が続々参戦(出所:米メタプラットフォームズ(左上)、米マイクロソフト(右上)、REALITY(左下)、KDDI(右下)のそれぞれの資料を基に日経コンピュータ作成)
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 この新社名発表直後に、米マイクロソフトもメタバース戦略を打ち出した。コラボレーションツールの「Microsoft Teams」を拡張し、メタバースでの会議や共同作業に適した「Mesh for Microsoft Teams」を提供するとした。「メタバースへのゲートウエイ」と位置付け、プレビュー版を2022年前半に公開する予定だ。

 国内でもメタバースの取り組みは広がっている。リアルな街と連動したユニークなメタバースを立ち上げたのがKDDIだ。地元観光協会などと組んで渋谷区公認の「バーチャル渋谷」を2020年5月から運営し、音楽やトークライブなどのイベントを開催。2021年10月のハロウィーンイベントでは55万人を集めるなど盛況を見せた。こうした経験を基に、同社は2022年春から都市連動型メタバース「バーチャルシティ」の運用を始める予定だ。

 グリーもメタバースを今後の中核事業と位置付ける。2021年8月には子会社のREALITYがライブ配信アプリ上でメタバース機能を試験導入した。