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 外部環境が絶えず変化する今、どの企業も柔軟かつ迅速に新たな価値を創造する必要に迫られている。新たな価値をつくり出すには、社内外にある技術とアイデアを組み合わせる「オープンイノベーション」の手法が有効だ。大企業にとって社外の相手方は多くの場合、新たな技術や発想を持ったスタートアップである。2022年はスタートアップの評価額が一段と高まると同時に、政府が整備したルールに基づき協業における大企業側の「問題行為」にスタートアップ側が敏感になる。上から目線では大企業はいつまでもオープンイノベーションに取り組めない状況となるだろう。

図 オープンイノベーションを巡る変化と予測
図 オープンイノベーションを巡る変化と予測
スタートアップの評価額が高まる一方で協業阻む「問題行為」が明確に
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日本スタートアップに海外資金

 2021年は海外IT大手が日本のスタートアップを複数買収し、話題となった。海外企業の多くはオープンイノベーションの手段としてM&A(合併・買収)を使うケースが多い。

 2021年7月、米グーグルはスマートフォン決済サービスのpring(プリン)買収を発表。2021年9月には米ペイパルが後払いサービスのPaidy(ペイディ)を約3000億円で買収するとした。Paidyは上場観測のあったユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場企業)だけに買収、それも海外大手からの買収は驚きを与えた。一方、日本のスタートアップには海外大手からのM&Aという新たな出口戦略を示した。

 資金調達でも海外ベンチャーキャピタル(VC)からの出資が話題となった。人事労務SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を手掛けるSmartHRが2021年6月に約156億円の資金調達をした際には、米老舗VCのセコイア・キャピタル系のファンドが出資。金属などの部品加工の受発注をネット上で仲介するサービスを手掛けるキャディが2021年8月に約80億円を調達したときは、香港拠点のVCであるDSTグローバルが日本企業に初めて出資した。

 海外マネーが流入する背景について、VCのコーラル・キャピタルの沢山陽平創業パートナーは4つの理由を挙げる。1つ目は、日本のユニコーンの存在が海外で知られるようになったことである。2つ目が、英語でコミュニケーションを取れるスタートアップの経営者が増えたことだ。

 3点目が、米中スタートアップの評価額が高騰し、VCが他の国にも目を向け始めたこと。最後の4つ目が、国内の調達環境の成熟により、未上場のまま規模を拡大するスタートアップが増えてきたことである。

 さらに沢山氏はSansanやマネーフォワードといった上場済みのメガスタートアップによるスタートアップ買収が増えている点にも注目しており、「今後も増えていく」とみる。

表 2021年に海外企業から買収されたりグローバルで投資するVCから出資を受けたりした日本のスタートアップの例
評価高まる日本スタートアップ
表 2021年に海外企業から買収されたりグローバルで投資するVCから出資を受けたりした日本のスタートアップの例
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