
新型コロナ禍にウクライナ危機、為替相場の急激な変動。2022年に世界を見舞った激動は、新たな年でも続きそうだ。富士通、NEC、NTTデータ、日本IBM、日立製作所のIT大手5社には社会課題の解決や事業のグローバル展開、次世代を見据えた人材育成、さらなる構造改革の断行と、取り組むべき課題が山積している。来る2023年を各社はどう迎えるのか。決意と成長戦略を聞いた。
改革の先、果実を得る次の一手は
新型コロナ禍にウクライナ危機、為替相場の急激な変動。2022年に世界を見舞った激動は、新たな年でも続きそうだ。富士通、NEC、NTTデータ、日本IBM、日立製作所のIT大手5社には社会課題の解決や事業のグローバル展開、次世代を見据えた人材育成、さらなる構造改革の断行と、取り組むべき課題が山積している。来る2023年を各社はどう迎えるのか。決意と成長戦略を聞いた。
時田 隆仁 氏 富士通 社長
2019年6月の社長就任以降、怒濤(どとう)の改革が市場から高く評価され、足元の株価は堅調だ。ただ就任以降の不安定な経済状況もあり、肝心の本業の業績は伸び悩んでいる。2023年は成果が求められる重要な年になる。
森田 隆之 氏 NEC 社長
2022年は3つの成長事業すべてに対し、着実に手を打てたと総括。2023年は5Gにおいて、既存大手通信キャリアへの導入を進めると意気込む。傘下のアビームコンサルティングとの連携を起点にDX(デジタル変革)事業を強化し、請負型からの脱却を目指す。
本間 洋 氏 NTTデータ 社長
NTTデータが経営の枠組みを大きく変えている。2022年にNTTと海外事業を統合し、2023年には国内事業の切り出しや持ち株会社化を控える。これまで「点」にとどまっていたNTTとの連携を、今後は「面」に広げると意気込む。
山口 明夫 氏 日本IBM 社長
国内企業のDX(デジタル変革)は着実に進み、「良い意味で落ち着いた」とみる。2023年は半導体や量子コンピューターといった先端技術への投資を含む5領域に注力する。地銀勘定系システム共同化へ新たなインフラ像を提示し、コスト削減を超えた価値を訴求する。
徳永 俊昭 氏 日立製作所 副社長
構造改革から成長投資に大きく舵(かじ)を切る日立製作所のIT・デジタル事業を率いる。成長エンジンと位置付けるのが、約1兆円で買収した米グローバルロジックだ。同社を先頭に、連結で37万人近くの従業員を抱える巨艦のアジリティーを高めることを狙う。