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 2020年は米アマゾン・ウェブ・サービスの「Amazon Braket」や米マイクロソフトの「Azure Quantum」といった、複数のメーカーが開発した量子コンピューターを利用できるクラウドプラットフォームの他、米IBMの量子コンピューター「IBM Q」のクラウド経由での利用が進んだ。すぐに使い始められるクラウドサービスが登場することで、企業や大学の研究者らが量子プログラミングや解析などを試す機会が増えたが、多くが教育や試用にとどまる。ビジネスや研究への有用性を示すことが課題だった。

 これに対し、大阪大学大学院基礎工学研究科の北川勝浩教授は2021年には「有用性を示すためには、オンプレミスでの利用のほか、クラウド経由でマシンを占有する利用が進む」とみる。

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理化学研究所の中村泰信氏が開発中の量子コンピューター(上)と、米IBMの量子コンピューター「IBM Q」(下)(写真提供:日本IBM(下))
理化学研究所の中村泰信氏が開発中の量子コンピューター(上)と、米IBMの量子コンピューター「IBM Q」(下)(写真提供:日本IBM(下))
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図 日米で開発中の量子コンピューター
世界中でハードウエア開発が加速

 現在クラウド経由で提供される量子コンピューターは量子ビットの誤り訂正ができない、「NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer、ノイズがありスケールしない量子コンピューター)」と呼ばれ、量子化学計算などで活用が模索されているが通常のコンピューターとデータのやり取りをする必要がある。クラウド経由での共用利用では「実際のアプリケーションの開発や実行には適していない」(北川教授)といい、十分な計算機能力を発揮できていないという。