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 IoT(インターネット・オブ・シングズ)やシミュレーションなどを用いて物理空間の環境を仮想空間上で再現する「デジタルツイン」。それを日本の国土に適用して都市開発や防災、観光などに役立てる取り組みが2021年に加速する。基盤の整備を進め、2022年度から行政や企業が本格的に活用できるようにする。日本におけるデジタルツイン活用の起爆剤になりそうだ。

 デジタルツインはリアルタイムで高い精度のシミュレーションが行えることから、製造業の製品開発や生産設備の保守メンテナンスなどでの活用が始まっている。今後は製造業以外にも活用の場が広がる。そのなかでも注目されているのが、国土交通省が整備を進めるデータ連携基盤「国土交通データプラットフォーム」だ。

図 国土交通省が進める「国土交通データプラットフォーム」とその活用分野
図 国土交通省が進める「国土交通データプラットフォーム」とその活用分野
国土をまるごと「デジタルツイン」(画像提供:国土交通省)
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 例えば、都市の人流データを解析して災害時の避難経路を決めたり、日照や風などの気象データを解析してヒートアイランド対策を検討したりするといった活用を見込んでいる。民間企業が自社のデータと組み合わせて、業務の効率化やサービス開発などに活用することも可能だ。

 具体的には地図データに構造物や地盤のデータを位置情報でひも付けた「インフラデータプラットフォーム」をベースに、交通や人流、物流といった経済活動のデータと、気象や災害といった自然現象のデータを加えることで、将来予測などのシミュレーションができるようにする。プラットフォームの中ですべてのデータを保有するのではなく、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて官民の多様なデータベースと連携する仕組みを用意している。

 国交省では、国土交通データプラットフォームを広く使ってもらうためにインターネットで公開している。ブラウザーを使って誰でも利用できる。2020年12月時点の最新版である「ver1.2」では、社会インフラ施設の諸元データやボーリング調査による地質データ、交通機関による旅客流動、気象観測データなどを地図上で検索して表示、ダウンロードできる。今後はAPIによるデータ連携をさらに拡大する計画だ。ログイン機能やデータのアクセス権限を設定する機能などの実装も検討しているという。