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 2021年はスマートフォン経由で金融サービスを提供する「デジタルバンク」が日本にも続々登場する。デジタルバンクは欧州が先行するが、日本でもネット企業や地方銀行が開業を急いでいる。銀行を黒子として支えてきた勘定系システムのあり方も大きく変わることは間違いない。

 デジタルバンクは銀行免許を取得したうえで、スマホ経由で預金や決済といったサービスを提供する企業を指す。リアル店舗は持たず、既存の銀行と比べて商品やサービスを絞り込んでいることが特徴だ。

 自前で用意する商品・サービスは最小限に抑える一方、足りないピースは異業種連携で埋める。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介して異業種企業の商品・サービスを取り込み、自社のものと組み合わせて提供する。

 デジタルバンクは欧州が先行しており、特にスタートアップ企業ながら銀行免許を取得して金融サービスを提供する「チャレンジャーバンク」が台頭している。英レボリュート(Revolut)などが代表例だ。

日本は地銀勢が先行

 日本では地銀がセカンドブランドとしてデジタルバンクを新たに設立するケースが増えている。代表例がふくおかフィナンシャルグループ(FG)の「みんなの銀行」で、2021年5月のサービス提供開始を目指している。2020年12月に銀行免許の取得に関し、金融庁の予備審査も終えている。

表 地銀が開業予定の主なデジタルバンク
地銀がデジタルバンクで先行
表 地銀が開業予定の主なデジタルバンク
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 ふくおかFGは九州が地盤だが、スマホ主体のみんなの銀行は地理的な制約を乗り越えやすい。ふくおかFGの横田浩二取締役執行役員(みんなの銀行頭取)は「対象顧客がいるのは関東圏になってくると思う。我々は九州に根ざして事業をしてきたが、地理的な壁はもうない」と話す。

 同じ地銀勢では、東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)が関係当局の許認可などを前提に、2022年1月ごろのデジタルバンク開業を目指している。2020年10月にデジタルバンクの設立に向けて準備会社を設立した。

 異業種では、LINEがみずほフィナンシャルグループと組んでデジタルバンクの設立を進めている。ただしLINEとZホールディングス(HD)の経営統合もあり、先行きは見通しにくい状況だ。

 ZHDは傘下にジャパンネット銀行(2021年4月にPayPay銀行に社名変更)を抱える。ジャパンネット銀行には三井住友銀行が5割近くを出資している。みずほと三井住友の思惑も絡み、調整は一筋縄ではいきそうにない。まずは地銀勢のデジタルバンクが開業で先行しそうだ。

みんなの銀行はクラウド採用

 デジタルバンクは勘定系システムのあり方も大きく変える。これまでは密結合のアーキテクチャーやウオーターフォール型の開発が一般的だったが、デジタルバンクでは疎結合のアーキテクチャーやアジャイル型の開発が主流になる。動作基盤はパブリッククラウドが有力候補になる。

 みんなの銀行はアクセンチュアの「Accenture Cloud Native Core Solution(通称MAINRI)」というフレームワークをベースに、勘定系システムを内製している。2019年春に、システム開発会社のゼロバンク・デザインファクトリーも設立した。勘定系システムの動作基盤には米グーグルのパブリッククラウドである「Google Cloud」を採用した。

 一方、東京きらぼしFGのデジタルバンクは勘定系システムに、韓国の新韓銀行の日本法人であるSBJ銀行が導入しているオープン系システムを採用する予定だ。