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 「患者に薬をきちんと飲んでもらうにはどうすればいいか。昔から変わらない深刻な問題だ」と倉橋執行役員は強調する。エビリファイの場合、副作用などを恐れてわざと飲まない患者がいるだけでなく、「飲んでいないのに飲んだと思い込んだり、自分は正常なので飲む必要はないと主張したりする患者もいる」(倉橋執行役員)。

 処方通りに服薬しないと治療が長引いたり再発を招いたりしかねない。米国は精神疾患の治療費を主に政府が負担しており、正しい服薬は医療費の削減にもつながる。

 だがこれまでは「誰がどれだけ薬を飲んでいるかを正確に把握する手立てがなかった。何しろ患者自身も分からないのだから」(同)。こうした問題の解決策として、デジタルメディスンに期待を寄せる。さらに倉橋執行役員は「個人情報の扱いには十分な留意が必要」と前置きしつつ、「データがたまれば、薬の飲み方と症状の悪化との相関関係を見つけ出し、予測に生かせる」とみる。

目から得た情報は価値が高い

 寝ている間に装着して視力を矯正する「オルソケラトロジーレンズ」をはじめ、専門的なコンタクトレンズを開発するユニバーサルビュー。同社は現在、スマートコンタクトレンズの開発に取り組んでいる。

ユニバーサルビューが開発中のスマートコンタクトレンズのモックアップ
ユニバーサルビューが開発中のスマートコンタクトレンズのモックアップ
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 2020年までに設計・製造に必要な仕様や開発環境をまとめたプラットフォームを整えて、メーカーなどに提供する計画だ。製品化の時期は「早ければ2023~2024年ごろ」(高木裕スマートコンタクト開発担当部長)という。

 同社はスマートコンタクトレンズにグルコース(ブドウ糖)センサーや制御用マイコンなどを埋め込む。センサーで得た情報はスマホを介してクラウドサービス上に蓄積して分析する。

 「目から直接得られる情報の価値は高い」と高木部長は強調する。「糖質制限ダイエットが盛んだが、炭水化物を減らすと本当に糖質をカットできるのか、グルコースとどう関係しているのかは実は不明瞭」(高木部長)。スマートコンタクトレンズで得たデータでこの関係を解明できると期待している。

 インプランタブル機器の実現に向けた最大の課題はデータの取り扱いだ。取得した生体(バイタル)データは究極の個人情報だけに、取得や収集・保管に細心の注意が求められる。

 法規制にパスするか、当局の認可が下りるかも難題だ。スマートコンタクトレンズの場合、「前例がなく、新たな規格が必要になる可能性が高い」(同)。これらの課題をクリアできれば「体によく効くコンピューター」への道が開ける。