日本にとって節目の年となる2020年に流行する技術を、1年先取りして、どこよりも早く予測した。デジタルの時代は技術の重要性がこれまで以上に高まっていく。2020年に進化を遂げる20の本命技術と、今知っておきたい20の有望技術をお届けする。
主流はウオーターフォールからアジャイルへ
業務にITを使う企業、つまり日本のほぼ全ての企業が2020年までにアジャイル開発を活用し始める。新しい技術を自社の業務や製品に素早くどん欲に取り入れなければ、破壊者(ディスラプター)によって危機的な状況に追い込まれてしまうからだ。企業競争力の強化につながる情報システムを構築する際、ウオーターフォール型ではなくまずアジャイル開発の採用を検討する時代が訪れる。
ウオーターフォール型の受託開発を主軸としてきた国内IT企業は発注者の危機感に寄り添わなければ失注するとの焦りから、アジャイル開発の支援体制の強化に乗り出している。「アジャイル開発を担える人材はいないのか」。富士通の木脇秀己執行役員常務は顧客企業からこうした問い合わせが「確実に増えている」と明かす。
デジタル事業の強化を急ぐ富士通は顧客企業のIT人材がアジャイル開発を体験できる拠点を2018年10月に開いた。消費者向けのスマートフォンアプリやWebサービスだけでなく、社内システムをアジャイル開発する事例も増えるとみて、大規模業務システムの刷新プロジェクトにもアジャイル開発を適用できる体制の整備を急ぐ。
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2018年春に東京と愛知県豊田市にアジャイル開発拠点を置き、近くに本社を構える大企業などと共同でシステムを開発し始めた。2019年3月までにアジャイル開発要員を200人まで増やす計画だ。既存拠点の拡張や新たな拠点の設置も検討している。
小粒は卒業、大規模へ
「これから重要なのは組織的アジャイルだ」。2000年代初めからアジャイル開発の実践と普及に取り組んできた永和システムマネジメントの平鍋健児社長はこう指摘する。
前提として3~10人程度の少人数で反復的に開発する「スクラム」が普及し、チーム単体を効率良く回す手法はそれなりに確立されつつある。「小規模で試験的なアジャイル開発は成功する例が増えてきた」(平鍋社長)。
アジャイル開発の対象を広げると、たくさんのチームが並行して動くようになる。チーム数が増えたときの各チームへの役割の分割や、チーム間でのノウハウ共有などをどう進めるべきかが次の壁として浮上する。こうした課題を解決する手法である「Scrum@Scale」や「LeSS(Large-Scale Scrum)」に脚光が当たりそうだ。前者はKDDIが取り入れている。