PR

がん治療、AI活用が本格化

 長らく日本人の死因トップであり、人類最大の敵といえる「がん」。世界中の多くの研究者が早期検知や撲滅に挑んでいる。2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授の研究もがん治療薬に関わる内容だった。がん撲滅への挑戦にAI(人工知能)も一役買いそうだ。2020年にはがん検知に関する医師の補佐役としてAIの利用が本格化する。

 最有力は画像診断支援だ。病理画像や放射線画像、内視鏡画像といったデータを深層学習(ディープラーニング)で学習させ、がんの可能性を判断する。厚生労働省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」は次のようなロードマップを描く。2020年までに学会を中心に画像データベースを構築し、並行して医師法や医薬品医療機器等法などの法令におけるAIの取り扱いを明確にする。2020年以降に医師の補佐役として診断や医療支援に活用していく――。

図 医療分野におけるAI活用のロードマップ
図 医療分野におけるAI活用のロードマップ
2020年以降に本格化(出所:厚生労働省「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」の資料を基に日経コンピュータが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 「研究室では十分な精度が得られているが現場で同じ精度が得られていない」。厚労省の支援を得て東京大学医学部付属病院などが進める病理診断AIプロジェクトに参画するメタデータの野村直之社長はこう指摘する。撮影時の光の加減などが異なるからだという。AIががんに勝利を収めるには、より多くの学習データを集め、現場で地道に試行を重ねて知見をためていく取り組みが欠かせない。

教育にITをフル活用、全国の公立学校に広がるエドテック

 オンライン動画で授業をいつでも見られ、AI(人工知能)に最適な学習法を提案してもらえ、VR(仮想現実)で宇宙を「体験」して学べる――。2020年は教育にITをフル活用する「エドテック」が全国の公立学校に広がる。

 起爆剤となるのは、国が進める全教室へのWi-Fi配備だ。「1~2年以内に進める」。デジタルハリウッド大学大学院教授で教育に関する国の委員なども務める佐藤昌宏氏はこう意気込む。

 文部科学省によれば日本は普通教室の無線LAN整備率が約3割にとどまり、先進国の中で後れを取っている。「Wi-Fiが整備されれば民間企業が次々と新たなエドテック関連サービスを打ち出してくるだろう」(佐藤教授)。

 さらに2020年以降、ITと教育の関わりは現状と比べられないほど深まる。文科省は2020年度から小学校以降のプログラミング教育を必修にすると決めている。

図 IT教育に関する動き
図 IT教育に関する動き
ITリテラシーが一般教養に
[画像のクリックで拡大表示]

 プログラミングを学習・体験させて倫理的思考や課題解決力を育む。GMOメディアと船井総合研究所は2023年の子ども向けプログラミング教育の市場規模を2018年比2.5倍の226億円と予測する。

 プログラミング必修化の背景にあるのはIT人材の不足だ。国は2030年に最大約79万人が不足するとみる。小中学校のデジタル武装が進んでIT人材の育成が成功すれば、未来のスティーブ・ジョブズが日本から次々と登場するかもしれない。