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日本にとって節目の年となる2020年に流行する技術を、1年先取りして、どこよりも早く予測した。デジタルの時代は技術の重要性がこれまで以上に高まっていく。2020年に進化を遂げる20の本命技術と、今知っておきたい20の有望技術をお届けする。

誰でもラクラクAI開発、新型サービスが充実

 2020年は特定の業界や業務に役立つAI(人工知能)を誰でも簡単に構築できるようになり、専用AIを使った業務改善が一気に進む。支えるのは米グーグルや米マイクロソフトの新たなクラウドサービスだ。プログラミングがほぼ要らず、機械学習モデルの開発を自動化できるサービスの正式版を2019年にも相次ぎ提供する。

 その第一歩はグーグルが2018年8月にベータ版の提供を始めた「AutoML」だ。2019年にも正式版が登場する。

 AutoMLには「画像認識」「自然言語処理」「翻訳」の3種類がある。例えば画像認識のAutoMLを使う場合、画像をアップロードしてどう判定してほしいかをラベルで指示する。対応関係を学習させると、新しい画像がどのラベルに当てはまるかをAIが判定できるようになる。様々な衣料品の写真を「シャツ」や「ニット」など独自のラベルで分類する作業などを自動化できる。

画像にラベルをつけて学習させられる
画像にラベルをつけて学習させられる
米グーグルの「AutoML Vision」の画面(画像提供:米グーグル)
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 マイクロソフトは「誰でもAI」の取り組みとして2018年9月に「Automated ML」のプレビュー版を公開した。学習対象のデータや目標などを設定すると、適切なアルゴリズムや変数を自動で探索する。

 今後、同社のBI(ビジネスインテリジェンス)ツール「PowerBI」から利用できるようにする計画で、分析担当者がより適切な予測モデルを構築しやすくなりそうだ。他のソフトやサービスとも連携させる。

人事にAI活用は常識に、着実に広がるHRテック

 2020年にかけて、社員の採用から育成、異動までに関わる作業の大半をAI(人工知能)が担うように変わる。人事担当者などはAIの判定結果を参考に最終判断を下すだけになる。

 HRテックは人事や人材管理を指す「ヒューマンリソース(HR)」と「テクノロジー」を組み合わせた造語だ。従来、同分野の製品やサービスが提供する機能は担当者の業務効率を高める内容が多かったが、ここに来て採用や配置計画など企業の競争力に関わる領域まで支援するタイプが増えている。

 市場規模も拡大する。ミック経済研究所によれば、クラウドサービスで提供するHRテックの国内市場規模は2022年度に2018年度比約3倍の663億円まで伸びる見込みだ。

図 クラウド型HRテックの国内市場予測
図 クラウド型HRテックの国内市場予測
2022年度に660億円市場に成長(出所:ミック経済研究所、全て予測)
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 ソフトバンクは既に日本IBMのAI「Watson」に学生のエントリーシートを読み込ませて合否判定に活用している。学生からの質問にチャットボットが自動応答する仕組みも構築した。

 HRテックの拡大に欠かせない技術が、判断の理由を明確にする「XAI(Explainable AI)」である。説明可能AIとも呼ばれる。採用の際にAIが性別や年齢、人種などで差別する間違いがあれば、有望な人材を採りこぼすだけでなく、法的な問題も生じる。

 企業は選定の根拠を客観的に示し、選定基準を明確にしておく必要性が出てくる。基準が曖昧な日本企業は少なくないのではないだろうか。