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上場建設会社の2021年3月期決算で、大手や準大手が軒並み減収となった。五輪関連工事の終了などで大型工事が減る中、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が直撃。これまで好調だった土木事業も、22年3月期は利益率が低下しそうだ。

 建設会社の2021年3月期単体決算で、舗装会社を除く土木売上高上位10社全てが、全体の売上高を前期よりも減らした(図12)。特に建築事業の減収が目立つ。東京五輪の関連工事がほぼ終わったことに加え、新型コロナウイルス禍が拍車をかけた。発注の先送りが起こったため、期中の売り上げ計上を期待できたリニューアル工事などに影響が出た。

図1■ 大手4社の完成工事総利率が平均20%超え
図1■ 大手4社の完成工事総利率が平均20%超え
舗装会社を除く上場建設会社の2020年度土木売上高上位10社について、土木の売上高と完成工事総利益率の平均値をグラフにした。大手4社は鹿島、大成建設、大林組、清水建設。準大手6社は五洋建設、前田建設工業、安藤ハザマ、戸田建設、三井住友建設、西松建設。21年度は見通し
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図2■ 土木売上高上位10社の2021年3月期決算(単体)
図2■ 土木売上高上位10社の2021年3月期決算(単体)
対象は舗装会社を除く上場建設会社。カッコ内の数値は「順位」が2020年3月期、その他の項目が対前期増減率(%)。金額は100万円未満を切り捨て。増減率は小数第2位以下を四捨五入して第1位まで表示。安藤ハザマと三井住友建設、西松建設は受注高(総額)の実績と見通しに、前田建設工業は受注高の見通しに開発事業などを含めていない
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 土木の売上高に限れば、上位10社のうち4社が前期よりも増えている。コロナ禍によるインバウンド需要の消滅や企業の設備投資低迷などが響いた民間工事を、需要が堅調な官公庁工事が補ったといえる。

 コロナ禍の影響は様々な面に表れた。清水建設は「特定警戒都道府県」に指定された13都道府県の作業所を20年4~5月に閉鎖。待機を余儀なくされた協力会社の作業員への休業補償など計41億3700万円(連結)を特別損失に計上した。西松建設もコロナ関連の費用として6億8400万円を特別損失に計上している。

 五洋建設はシンガポールやアフリカなど海外の工事が中断。コロナ禍による影響額は連結売上高でマイナス約300億円となった。海外土木受注高も前期比88.6%減の77億円に。前期の大型受注の反動だけでなく、コロナ禍でシンガポールの案件の入札が延期されたことが響いた。

 他にも業績に影響を与えた特殊事情がある。リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、大林組と清水建設は公正取引委員会から20年12月に課徴金の支払いを命じられた。ただ、両社は不正を自主申告したので、独占禁止法の減免制度に基づき課徴金を3割減額された。

 大林組は「独禁法関連損失引当金」として20年3月期に連結で41億4500万円を計上したものの、実際の課徴金は31億1839万円だった。差額に近い10億2600万円を「独禁法関連損失引当金戻入額」として21年3月期の特別利益に盛り込んだ。清水建設も、差額として21年3月期に6億1600万円の戻入額を計上した。

 東京外かく環状道路(外環道)については、工事中断が及ぼす影響を業績見通しに織り込んだ会社もあるが、具体的な数値は関連する全社が明言を避けた。