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 国土交通省が整備を進める西九州自動車道の松浦佐々道路(延長19.1km)の事業費が、約110億円増えて907億円となることが分かった。軟弱地盤への対応などでトンネルの補助工法や橋の基礎形式を見直したことが主な要因だ。国交省九州地方整備局が2019年11月26日に開いた事業評価監視委員会で、再評価の結果を明らかにした。

 松浦佐々道路は、長崎県内を通る松浦インターチェンジ(IC)から佐々ICまでの区間を指す。16年度に着工し、19年3月時点の事業の進捗率は約12%。開通時期は未定だ。

 事業費の増額分のうち、約50億円は松浦1号・2号トンネルの詳細設計で追加した補助工法が占める。

 当初設計では、過去の文献や近隣を走る伊万里松浦道路のトンネル施工実績を基に、地山を想定していた。

 しかし、詳細設計に当たって実施した地質調査の結果、乾燥と吸水の繰り返しで土砂化する「スレーキング」を起こしやすい泥岩が堆積していると判明。トンネルの掘削時に地山が変形する可能性があった。玄武岩層では風化による亀裂が多く生じ、軟弱化していることも分かった。

 そこで、インバートの設置に加え、切り羽の前方に鋼管を打ち込んで薬液やセメントミルクを注入する「フォアパイリング」などの補助工法で、地山を安定させることにした。