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 前田建設工業は2020年1月20日、持ち分法適用会社の前田道路に対して、子会社化を目的としたTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。この発表の5分前には前田道路が、前田建設の保有する同社株式を取得して資本関係を解消する提案を行ったと表明している(写真1)。つばぜり合いのようなやり取りは、このTOBが敵対的な内容に発展する様相を示す。

写真1■ 前田道路の本社ビル(写真:日経クロステック)
写真1■ 前田道路の本社ビル(写真:日経クロステック)
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 前田道路は、その後の報道発表で「公開買い付けの公表は、当社に対して何ら正式な連絡もなく、一方的かつ突然に行われた」と反発する。1月20日の日本経済新聞電子版の取材に対し、前田道路の今枝良三社長は「ホワイトナイト(新たな友好的な買収者)探しは選択肢になる」と語っている。

 ゼネコンによる道路舗装会社の子会社化は珍しくない。09年には大成建設が大成ロテックを、10年には鹿島が鹿島道路を、17年には大林組が大林道路を完全子会社化している。

 前田建設は前田道路の筆頭株主で、株式の保有比率は約24%。これを51%まで引き上げて連結子会社にする計画だ。前田建設総合企画部の堂森宏三・広報グループ長は、「前田道路が経営の独自性を保てるよう、持ち株比率を51%に設定した」と説明する。買い取り価格は1株3950円。前田道路株の1月17日の終値(2633円)を5割上回る。上限まで買い付けると取得額は約860億円となる。

 前田建設は「脱請負」を掲げ、空港や有料道路のコンセッション(運営権)分野に注力している。前田道路をグループ経営に組み入れれば、強みのインフラ運営に弾みが付く算段だ。しかし、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の八木亮アナリストは、「19年5月から続けてきた両社の連携強化の話し合いがこじれて今回のTOBとなっている。TOBが成立しても両社のシナジーが発揮できるかどうかは不透明だ」とみる。