全1228文字
リニア中央新幹線静岡工区の未着工問題などを議論した2021年2月10日の衆院予算委員会で、赤羽一嘉国土交通相は、同省が大井川の管理権限を静岡県から召し上げる可能性を「ばかげたこと」と一蹴した。管理権限の移管は、国交省が事態を打開するための秘策ではないかと、一部の報道などで取り沙汰されていた。
この大臣発言で、同工区を巡るJR東海と静岡県の対立は、県に有利な状況になってきた。21年6月に予定されている県知事選で、JR東海に批判的な現職の川勝平太氏が再選するか、その後継者が当選すれば、膠着状態がさらに長引く可能性がある。
1級河川の大井川は本来、国交省が管理する。しかし河川法では、国交省が1級河川の一定区間の管理を自治体に委任できると規定している。国交省はこの規定に基づき、大井川の上流部の管理を静岡県に委任している(図1)。