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 大阪市は、市の水道事業のうち、老朽化した配水管の更新をPFI(民間資金を活用した社会資本整備)で民間に委託する計画をまとめた(図1)。2020年2月7日に始まった市議会で関連条例案を提出。20~21年度に事業者を公募で選定し、22年度の事業開始を目指す。PFIによる水道管の更新は全国初だ。

図1■ PFIによる水道管更新事業の概要
図1■ PFIによる水道管更新事業の概要
大阪市の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 計画では、管路に占める耐震管や老朽管の割合などの目標を大阪市が設定。民間事業者がその要求水準を達成するよう、37年度までの16年間に約1800kmの配水管を更新する。事業者は自ら費用を負担し、計画から設計、施工まで一貫して手掛け、市民が支払う水道料金の一部などを収入として得る。更新後の管路は市が保有し、維持管理も行う。

 民間事業者が資材の大量購入などでコストを削減すれば、総事業費を現行方式の約3400億円から10.5%ほど減らせると見込む。また、事業者は公共調達ルールに従う必要がないため、複数工事の一括発注や工事期間の複数年度化なども柔軟に行える。事業者の裁量で工事を効率化すれば、現行方式では25~30年かかる事業期間を16年に短縮できる見通しだ。

 大阪市が管路更新の民間委託に踏み切る背景には、全国最悪といわれる水道管の老朽化問題がある。

 市内の水道管の総延長は18年度末で5227km。そのうち、約9割が1970年代に敷設された。法定耐用年数40年を超える水道管の割合(老朽管率)は約48%で、政令市では最も高い。市は公共調達ルールに縛られない民間に事業を委ねれば、管路の更新ペースを上げられると考えた。

3年前に水道民営化を断念

 大阪市は2014年4月、市が全額出資して新設する運営会社が国から水道事業の認可を取得し、取水から給水に至る水道事業全般を担う民営化基本方針を作成。16年2月に市議会に議案を提出した。

 当時、水道事業の運営などを民間に任せる場合、自治体が国に事業認可を返上したうえで、民間が新たに認可を取得しなければならなかった。民間が給水責任を負う形となるため、水質の悪化や水道料金の高騰などを懸念する声が多かった。大阪市でも17年3月、「命の水」に対して市が最終的に責任を負えないなど反対意見が相次ぎ、市議会で廃案となった。

 その後18年12月、民間の技術力や経営ノウハウを活用した官民連携を推進する水道法改正案が国会で可決・成立。自治体が最終的な給水責任を持ったまま、民間が水道事業の運営などを担えるようになった。

 水道法の改正を受け、大阪市は新しい事業スキームを盛り込んだ「改正水道法の適用によるPFI管路更新事業と水道基盤強化方策」を作成。19年10月の改正水道法の施行を受け、20年1月29日に管路更新の民間委託方針を決定した。