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 組織の壁を越えてイノベーション(革新)を創出する取り組みを政府が表彰する「第1回日本オープンイノベーション大賞」で、東北大学の研究チームによるインフラ維持管理の取り組みが国土交通大臣賞を受賞した。産官学それぞれの組織が連携協定を結び、インフラを効率よく管理する体制を築いたことが高く評価された。3月5日に表彰式を開催する。

 受賞した「東北インフラ・マネジメント・プラットフォーム」の構築は、東北大学大学院工学研究科の研究グループが2016年度から進めてきた。東北地方の大学や自治体、民間企業などが維持管理に関する情報を共有する。インフラの管理主体である自治体だけでは難しい技術開発や情報基盤の整備などを、産官学が連携して推進するための枠組みだ。

 プラットフォームの核となるのが、インフラの維持管理に必要な情報を蓄積するデータベースシステム。東日本高速道路会社などが内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で開発した高規格道路向けのシステムを、各自治体のニーズに合うように改良したものを運用する。

 山形県では16年度にデータベースシステムの運用を始め、17年度には県内の35市町村にも展開。9410の道路橋の情報を1つのデータベースで管理する体制を整えた。

 定期点検の結果や健全性の診断結果、補修履歴などの情報を全て同じシステムに記録することで、維持管理に必要な情報の一元管理を実現。管理者が補修計画や予算案の作成に必要な情報を簡単に閲覧・集計できるようにした。

データは貴重な研究資源に

 特徴的なのは、その運用体制だ。データベースの保守管理は、東北大学のインフラ・マネジメント研究センター(IMC)と山形県建設技術センター、山形県の3者が県内の自治体から委託を受けて共同で担当する。さらに、この委託費用の一部を使い、東北大学IMCと山形県建設技術センターはインフラの維持管理に関する研究や技術開発を実施。成果を自治体に還元する。

 データベースに蓄積された情報を使えば、地域別や橋の諸元別など、様々な切り口で老朽化の進行を分析できる。東北大学IMCの久田真センター長は、「約1万橋を点検した情報の束は、維持管理に関する新たな知見を得るための貴重な研究資源になる」と期待を込める。同様のデータベースは、現在までに宮城県や仙台市にも導入済みだ。

 東北インフラ・マネジメント・プラットフォームではこの他、インフラの維持管理に携わる人材の育成にも力を入れる。自治体の職員や点検担当者向けの勉強会を定期的に開催し、様々な組織の専門家からアドバイスを得られる場などを設けている。

 技術者不足などを背景に、インフラの維持管理に不安を抱える自治体は全国に多数ある。久田センター長は、「産官学が連携して地域のインフラを支える組織が全国で立ち上がるよう、東北の取り組みを横展開していきたい」と今後の展望を話す。