北海道室蘭市内の給油所から漏れ出したガソリンが水道水に混入した事故を受け、市は浸透に弱いポリエチレン(PE)製の水道管をダクタイル鋳鉄管に取り換える。2023年2月9日に開いた有識者による検討委員会で対策を明らかにした。
ガソリンが浸入したのは、給油所前の歩道の地下約1mに敷設された口径50mmのPE製配水管だ。
給油所地下の貯蔵タンクに接続する地下配管が、何らかの理由で破損してガソリンが地中に漏出。地下水を伝ってPE管の内部に浸入したと考えられる。給油所を所有するENEOSの推測では、地中へのガソリンの漏出量は2100リットルに達する。
22年6月中旬に水道水から油臭がすると通報を受けた市が調査し、漏出が明らかになった。ガソリンの漏出が始まった時期は分かっていない。
市は事故を受け、給油所の周囲のPE管を延長180mにわたり口径75mmのダクタイル鋳鉄管に取り換える。PE管はガソリンなど有機溶剤の浸透に弱いからだ。工期は23年3~5月、工費は約2000万円。事故原因の解明後、ガソリンが漏出した給油所前のPE管を撤去する。
「ガソリン漏出の恐れがある給油所近くでは配水管の敷設を避けた方がいい。配水管の種類を変えても、地震による破損などで浸入を起こす恐れがある」。水道工事に詳しいある建設コンサルタントは、こう指摘する。
事故があった配水管は、給油所建設後の1992年に整備した。給油所周辺では口径50mm以下の配水管はPE管、それを超える口径はダクタイル鋳鉄管を採用していた。