全1105文字

 国土交通省は2021年4月13日、インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて技術やノウハウを共有するための拠点を東京・霞が関の庁舎内に開設した。地方整備局や研究拠点などと工事現場の映像や構造物の3次元データを共有しながら議論できるよう、大型モニターや仮想現実(VR)の機器を設置した(写真1)。

写真1■ 工事現場の3次元モデルをVR機器で確認できるシステムなどを導入した(写真:日経クロステック)
写真1■ 工事現場の3次元モデルをVR機器で確認できるシステムなどを導入した(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 4月12日の開所式に出席した国交省の山田邦博技監は「できるだけ多くの人に、早急にDXの良さを分かってもらいたい」と述べた。

 拠点の名は「インフラDXルーム」。約25人が執務に使えるスペースやビデオ会議ができる個室を備えた。大人数でのビデオ会議もできるよう、8K映像を映せる85インチの大型ディスプレーの他、複数のモニターやカメラ、マイクを装備した。

 関東、近畿、中部、九州の4地方整備局や国土技術政策総合研究所との間を100Gbpsで結ぶ高速通信環境を整えた。大画面で4K動画をリアルタイムにやりとりできるため、ビデオ会議で3次元モデルの形状や図面の細部を確認しながら議論できる。

 開所式では、さいたま市にある関東地整の庁舎から早川潤・荒川下流河川事務所長がディスプレー越しに河川周辺の地形や橋梁、建物の3次元モデルを見せ、視点を操作するデモンストレーションなどを披露した。

職員にデジタル技術を学ばせる

 工事現場を3次元モデルで再現し、VR機器を使って視点を自由に切り替えながら360度映像で確認できるシステムを導入。拡張現実(AR)の機器で道路や橋梁の3次元モデルを手元に表示させて拡大や縮小、回転ができるシステムも整備した。

 例えば、河川に橋を架ける工事では、発注者や施工者、河川管理者などと工事の進捗を随時反映した3次元モデルを共有。掘削範囲と地中の埋設物との干渉や、クレーンで吊り上げる部材と架線の接触などをDXルームで確認できる。

 DXルームでは同省の職員に先端技術を体験させ、デジタル技術の応用事例やノウハウを学んでもらう。国総研の実験場の建機を遠隔で操作するシステムを導入するなど、設備の拡充も進める。

 国交省は21年4月1日に研究所や地方整備局などと一体でインフラDXを進める「インフラDX総合推進室」を発足させた。民間で先行するデジタル技術を取り入れ、全国でインフラDXを進めていく考えだ。

 地方整備局での設備導入も進みつつある。近畿地整は21年4月1日、大阪府枚方市の近畿技術事務所内に3次元モデルの活用や建機の遠隔操作ができるシステムを備えた「近畿インフラDX推進センター」を設置した。21年5月までに関東、中部、九州でもインフラDX推進センターの開設が完了する予定だ。