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 2016年11月に大規模な陥没事故が起きた福岡市JR博多駅前の市営地下鉄七隈線の延伸工事現場で、市は19年7月にトンネル掘削を再開する計画を明らかにした。崩落したトンネル内の水抜きは19年4月に完了。トンネル内に堆積した土砂の撤去作業を終え次第、NATMで掘削を始める予定だ。

 博多駅から西に伸びる「はかた駅前通り」で生じた陥没の大きさは幅27m、長さ30m、深さ15m。穴は事故直後、大部分を流動化処理土で埋め戻した。その下には、事故で崩れた緩い砂層が分布。さらに、陥没穴の底は地下約19mの深さで事故当時に掘っていたトンネルにつながる。事故後の調査で、トンネル内には地下水約1万4000m3、土砂約6200m3が流れ込んでいると推定された(図1)。

図1■ トンネルの上にあった緩い砂層を固める
図1■ トンネルの上にあった緩い砂層を固める
陥没地点の横断図。赤線は地質調査を基に想定した陥没形状(資料:福岡市)
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 強度と止水性の向上のため、市は17年12月末から1年かけて陥没範囲周辺の地盤改良を実施。流動化処理土の下で、トンネル掘削箇所よりも浅い位置に分布する緩い砂層と周囲の土砂層を固め、疑似的な岩盤を構築した。

 具体的には、セメント系固化材を地中に注入して改良杭を築く「高圧噴射かくはん工」を全域に実施。はかた駅前通りの南北にある民地との境界部では、地上からの薬液注入工で遮水壁を設けた。

 水抜きは19年1月18日から約2カ月半かけて、段階的に進めた。実施期間中は地表面や各地層の沈下量、地下水位などを24時間態制で監視。市交通局は「問題となるような変異は発生しなかった」と説明している。

再掘削もNATMで

 現在は、崩落したトンネルとたて坑を結ぶ連絡坑で、堆積した土砂の撤去を進めている。土砂は重機で掘り出し、たて坑に設置したクレーンで搬出している(写真1)。埋もれていた連絡坑の内部に、目立った損傷は見られないという。

写真1■ 水抜きが完了したたて坑から土砂をクレーンで搬出する(写真:福岡市)
写真1■ 水抜きが完了したたて坑から土砂をクレーンで搬出する(写真:福岡市)
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 再掘削の工法は、事故前と同じNATMを採用する。崩落箇所の補修や補強の方法は、現場の状況に応じて判断する方針だ。

 陥没事故の影響で、市は地下鉄七隈線の延伸区間の開業を当初予定から2年延期し、遅くとも23年3月と発表している。市は事故後の地盤改良の費用として約10億円を工事契約に盛り込んだ。再掘削で新たに生じる費用については、今後施工者と協議していく。