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 千葉県は6月16日、安房土木事務所が発注する工事の指名競争入札で、参加基準を満たさない建設会社を指名するため、既に指名通知を終えていた入札を中止する不正があったと発表した。県は公正取引委員会などに通報したうえで、事務所の所長と次長を処分する方針だ。建設会社の名前は明らかにしていない。

■入札中止の経緯
時期 出来事
4月中旬 安房土木事務所が南房総市における落石対策工事の設計書を作成
5月 8日 審査会を開催して指名会社を選定
5月11日 指名を通知。入札を5月28日と29日に実施し、29日に開札する予定と発表
5月14日 指名から外れた建設会社Xの社長が安房土木事務所を来訪。発注工事と同じ場所での施工実績を理由に指名を要請
5月15日 建設会社Xの社長が再び来訪。指名を要請
5月16日 安房土木事務所の所長が入札の中止を決定し、指名会社に通知。担当職員に工事金額を縮小した設計書の作成を指示
5月18日 千葉県庁に「不正に入札を中止した」とするメールが寄せられる
千葉県の資料を基に日経コンストラクションが作成

 不正があったのは、安房土木事務所が予定価格4800万円で発注手続きを進めていた南房総市にある法面の落石対策工事。事務所は指名会社を12社選び、5月11日に各社に通知していたが、開札前の同16日に入札の中止を発表した。

 県の調査によると、入札を中止する直前、指名されなかった南房総市の建設会社の社長が事務所を2度にわたって訪れ、同社を指名会社に加えるよう要望していた。この会社は、発注工種で直近2年間の平均完成工事高が工事金額を下回っていたため、入札への参加基準を満たさなかった。

 要望を受けた安房土木事務所の所長と次長は、同社が今回の発注工事と同じ区域で施工実績がある点などを評価。入札の中止を決めた後、この会社を指名できるように工事の規模を縮小し、再び入札を実施するよう担当者に指示していた。

官製談合には該当しない?

 所長らは県の調査に対し、「指名審査で施工実績を確認していなかったため、事務所側に落ち度があったと感じた」などと説明。建設会社から金銭の受け取りなどはなかったとしている。これに対し県は、「入札制度への信頼を揺るがしかねない行為」と判断。入札を中止するのは関連工事で入札不調があったり、談合情報が寄せられたりするなどの理由がある場合に限るべきだとした。

 ただし、所長らの行為は特定の会社に落札させることが目的ではないため、官製談合には該当しないとしている。県は再発防止に向け、職員研修を実施するほか、入札中止の理由を検証できる体制を整える。問題となった落石対策工事は、当初の計画と同じ金額規模で再び入札を実施する方針だ。