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 2020年10月に東京都調布市で起こった陥没事故を受け、信頼性が揺らぐ大深度地下トンネル工事。リニア中央新幹線で同様のトンネル工事を予定しているJR東海が住民の不安解消に動き出した。都内で説明会を開き、掘削土砂の量を厳格に管理するなど安全性の確保を強調した。

 住民説明会は21年6月8日、午後2時から約3時間にわたって報道陣に非公開で開催した。シールド機が発進する北品川非常口(東京都品川区)付近から到達する等々力非常口(川崎市中原区)まで、約9.2kmに及ぶ第一首都圏トンネル北品川工区が対象だ(図1)。施工者は熊谷組・大豊建設・徳倉建設JV。トンネルが通る品川、大田、世田谷の3区の住民約300人が説明会に参加した。

図1■ 地下55~90mの深さを掘削
図1■ 地下55~90mの深さを掘削
第一首都圏トンネル北品川工区の縦断面図。JR東海の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 JR東海は調布市で起こった東京外かく環状道路(外環道)の陥没事故について、当該地域の地質が特殊だったと指摘。(1)掘削場所に粒径の大きいれき層があった(2)掘削場所の上部が単一の砂層だった(3)表層の地盤が薄かった──という3つの要因が重なり、陥没が生じたと説明した。

 一方で、リニア事業の北品川工区で掘削する地層には固結シルトや固く締まった砂の層が分布し、陥没しやすい場所ではないと強調。掘削する場所は地下約55~90mで、外環道の地下約47mに比べて深い点にも言及した。

掘削した土砂を管理しやすく

 その上で、外環道の陥没事故は掘削土砂の取り込み過ぎが原因と考えられることを踏まえ、従来の施工計画を見直した。

 外環道ではシールド機の掘進実績を基に、掘削したと考えられる地山の体積の±10%を1次管理値、±20%を2次管理値に設定。排土量が管理値を超えないよう確認しながら施工していた。

 東日本高速道路会社は陥没事故を受け、再発防止策として1次管理値を±7.5%、2次管理値を±15%以内にそれぞれ引き下げた。JR東海もリニア事業で同じ値を採用し、掘削土砂量を厳格に管理する。

 加えてこの工区で使うシールド機には、掘削土砂を排出するスクリューコンベヤーとは別に、チャンバー内から土砂を試料として取り出す「土砂サンプリング装置」を備えていると説明した。

 この装置を使えば掘削土砂の比重を高い精度で把握できるので、シールド機が取り込む土砂の量を管理しやすくなる。