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 国土交通省長崎河川国道事務所は、長崎県諫早市に建設中の本明川ダムの完成予定時期を2024年度から8年延期した。事業費は約500億円から約730億円に増える見通しだ。

 本明川ダムは洪水調節や河川流量の維持を目的とした総貯水容量620万m3の台形CSGダムだ(図1)。21年度の事業評価で同ダムの建設事業を再評価し、16年度の前回評価から見直した。長崎河川国道事務所が21年6月4日に開いた学識者懇談会(委員長:夛田彰秀・長崎大学留学生教育・支援センター教授)で報告した。

図1■ 総貯水容量620万m3の台形CSGダムを建設
図1■ 総貯水容量620万m<sup>3</sup>の台形CSGダムを建設
本明川ダムの完成イメージ(資料:国土交通省長崎河川国道事務所)
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 工期を延長する主な要因は、付け替え道路の施工計画の見直しにある。現行では、ダムの完成を急ぐために本体工事と並行して県道や市道を付け替える計画になっている。しかし、ダムの完成後も周辺に残る住民や地元自治体から、生活への影響を抑えるよう求める声が上がっていた。

 要望を反映し、本体工事の着手を遅らせて道路の付け替えを先行する計画へ変更(図2)。生活道路を工事用道路から分離し、一般車両が工事用車両と一緒に通行する頻度を減らす。

図2■ 付け替え道路完成後に本体着工
図2■ 付け替え道路完成後に本体着工
当初は迂回路の完成後に本体工事に着手する予定だった。本体着工前に付け替え県道・市道を完成させるよう計画変更したため工期が5年延びた
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基礎掘削の施工量が倍に

 施工量の増加も、工期が延びる要因の1つだ。ダムの詳細設計のために実施したボーリング調査や透水試験で強度の低い岩盤などが想定より広範囲で見つかった。それらを撤去するため、基礎掘削の施工量を約16万m3から約32万m3に変更。堤高を約55.5mから約60mに、堤体コンクリートの体積を約53万m3から約62万m3に増やす。

 この他、働き方改革を踏まえてダム本体工事の1日当たりの作業時間を11時間から7時間に減らす。

 その結果、工期は付け替え工事の見直しで約5年、施工量の増加で約1年9カ月、作業時間の見直しで約1年3カ月延びる。基礎掘削や堤体の施工量の増加で約48億円、工期の延長で約54億円コストが増える。

 社会情勢の変化も事業費に影響する。現行の事業費は15年度の労務費や技術者単価、資機材単価を基に算定した。これらの単価の上昇で、64億円ほど増額する。