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 国土交通省は、気候変動に伴う将来の降雨量増加などを見込んだ全国初の河川整備基本方針の見直しに向け、近畿と九州の2水系で議論を開始した。これまで基本方針で設定する基本高水流量などは、過去の降雨実績に基づいていた。対象水系では、降雨量が現在よりも1割程度まで増加すると見込む。

 基本方針を見直すのは、奈良、和歌山、三重の3県をまたぐ新宮川水系と、宮崎、大分、熊本の3県をまたぐ五ケ瀬川水系。前者では2011年9月に中国・四国地方を横断した台風12号、後者では05年9月に宮崎県を襲った台風14号で、それぞれ大規模な水害が発生した。

 従来は、過去の降雨実績などを基に、100年に1度の確率で起こる規模の大雨に相当する「確率雨量」を算定し、洪水を防ぐための目標とする基本高水を定めていた。

 国交省は、専門家でつくる社会資本整備審議会の河川整備基本方針検討小委員会(委員長:小池俊雄・土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)を21年5月21日に開催。将来の気温上昇を踏まえて、降雨量を見直した。

 将来の雨量は、算定した確率雨量に地域ごとで異なる雨量の増加率「降雨量変化倍率」を掛けて推定する。対象の2水系の地域区分では、平均気温が将来2℃上昇した場合、降雨量変化倍率は1.1となる。

 国交省では、熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした20年の7月豪雨などを受け、他の水系の見直しも進める方針だ。