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 リニア中央新幹線静岡工区(図1)の着工を巡って、2020年6月26日に開いたJR東海の金子慎社長と静岡県の川勝平太知事のトップ会談が平行線に終わった。東京─名古屋間で予定している27年の開業が延期となる可能性が強まっている。

図1■ 静岡県北部を長大トンネルで貫く
図1■ 静岡県北部を長大トンネルで貫く
静岡県内のトンネル延長10.7kmのうち静岡工区は約9km。JR東海の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 金子社長は、6月中にトンネル坑口付近の整地や樹木伐採などの準備工事に着手しなければ、27年の開業が難しくなると訴え、川勝知事に会談を申し入れていた。金子社長は会談で、作業のためのヤード整備への同意を何度も求めたが、川勝知事は明言を避けた。

 川勝知事は会談に先立ち、トンネル工事に伴う大井川の流量減少を懸念する流域市町と協議。ヤード整備を本体工事と一体と見なし、同意しない考えを示した。

 金子社長は会談で、ヤード整備について、「国土交通省の有識者会議で方向性が出たら、素早く次のステップに行けるような準備だけはしておきたい」と主張。「トンネルは掘らない」と繰り返し述べた。

 川勝知事は、国交省の有識者会議の結論を県の専門部会に持ち帰って地元に説明し、理解を得てから次のステップを進めると言及。「有識者会議がエンドではない」とくぎを刺した。さらに、ヤード整備は県自然環境保全条例の手続きを経る必要があると指摘。会談後、ヤード整備を認めない方針を改めて強調した。

 国交省の有識者会議とそれに続く県専門部会での検討、さらに地元との調整には、相当の時間がかかるとみられる。