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 2021年8月11日からの大雨の影響で、土砂災害や水害による被害が全国で相次いだ。総務省消防庁によると、24日午後4時半時点で建物の被害は5595棟。人的被害は死者10人、行方不明者は1人に上る。

 長野県岡谷市では15日午前5時15分に土石流が発生。住宅が土砂に巻き込まれ3人が死亡した。国土交通省が17日から現地に派遣した専門家らは、山の斜面が大量の雨水を含んで崩れ、泥流となって流れ下ったとの見解を明らかにした。

 被災した範囲は、急傾斜地の土砂災害特別区域(レッドゾーン)と土石流の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されていた。

 専門家らの調査によると、土石流の起点は被害住宅から約100m離れていた。起点付近では幅約10m、長さ約20m、深さ約4mにわたって400~800m3の土砂が崩れた。

 土石流は、崩壊の起点から約50m下にある中央自動車道の下を横断するボックスカルバートの歩行者用トンネルを通り抜けて、住宅に到達した。カルバートは幅約2.5m、高さ約2.5mだった(写真1図1)。

写真1■ 長野県岡谷市で発生した土石流。土砂が中央自動車道の下を通り抜け、住宅に流れ込んだ(写真:長野県)
写真1■ 長野県岡谷市で発生した土石流。土砂が中央自動車道の下を通り抜け、住宅に流れ込んだ(写真:長野県)
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図1■ 土砂が中央自動車道の下を通り抜けた
図1■ 土砂が中央自動車道の下を通り抜けた
長野県岡谷市で発生した土石流の概要。長野県建設部砂防課への取材と資料を基に日経コンストラクションが作成
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 現場一帯は、火山岩類などから成る「塩嶺累層」の上を、火山灰質で粒の細かい「森林土壌」と呼ばれる土が覆う地質だった。長野県建設部砂防課の説明では、この地質は大量の水を含むと崩れやすい。

 気象庁によると、現場から最も近い観測点「辰野町」では、15日午前5時までの24時間雨量が観測史上最大となる275mmに達した。

 岡谷市では、06年7月の豪雨でも土石流が起こっていた。県砂防課によると、今回の土石流が発生した地帯と似た地質だという。

 21年8月の大雨では、全国各地で水害の被害も目立った。佐賀県武雄市では8月14日、1級河川の六角川が氾濫。国土地理院の推計では、武雄市周辺で約9km2の範囲が浸水した(写真2)。

写真2■ 佐賀県武雄市を流れる六角川の氾濫状況。21年8月15日午前10時ごろに撮影(写真:国土地理院)
写真2■ 佐賀県武雄市を流れる六角川の氾濫状況。21年8月15日午前10時ごろに撮影(写真:国土地理院)
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 国交省九州地方整備局武雄河川事務所は13日午後4時、六角川の潮見橋観測所で警戒レベル4に相当する「氾濫危険水位」を超えたと発表し、警戒を呼びかけていた。同事務所と佐賀地方気象台は14日午前7時、氾濫が発生したとして警戒レベル5相当の「氾濫発生情報」を発表した。