国土交通省は、島根県出雲市内の神戸(かんど)川沿いに築いた堤防の影響で20年以上続く周辺の地盤沈下に対策を講じる。地盤が想定よりも軟弱だったため、堤防の重みで沈下していた。堤防と宅地の間に長さ45mの鋼矢板を打設して、周辺の「連れ込み沈下」を防ぐ。2021年12月中旬に現場での作業を始める予定だ。
神戸川の延長約7.8kmの区間で、両岸の堤防付近に鋼矢板を打設する。工事費は約200億円を見込んでいる。国交省出雲河川事務所は5年間で完了する目標を掲げる。
国交省は斐伊(ひい)川水系河川整備計画の一環として、1993年度に神戸川拡幅部の堤防整備事業に着手。2012年度までに完成した区間で、対策を要するレベルの地盤沈下が起こった。
沈下の影響は堤防周辺に広がった(写真1)。国交省が家屋などの被害を初めて確認したのは02年6月だ。20年度までの沈下量が場所によっては50cm以上に達した。現在でも年に1cm以上沈下している箇所がある。同省が沈下被害で補償契約を結んでいる住民は164世帯に上る。