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 日本製紙大成ロテックは、木材由来のクラフトリグニンをアスファルト舗装の原料の一部に利用した「バイオアスファルト混合物」を共同で開発する(図1)。化石燃料の消費を抑え、省エネを図る新たな舗装用材料として実用化を目指す。

図1■ アスファルトにリグニンと骨材を混ぜる
図1■ アスファルトにリグニンと骨材を混ぜる
「バイオアスファルト混合物」の製造から施工までのイメージ。パルプを製造する過程で取り除かれるリグニンを利用し、原材料をバイオマス化する。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の戦略的省エネルギー技術革新プログラムに採択された(資料:日本製紙)
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 木材チップから紙を製造する過程で、「クラフト法」によってセルロースと分離して得られるのがクラフトリグニンだ。これまでは主に、製紙工場のボイラーの熱源で利用されていた。

 石油アスファルトの35%をクラフトリグニンに置換することで、原油からアスファルト混合物を製造するまでに費やすエネルギーを、約21%削減できる見込みだ。

 地球温暖化の防止にも寄与する。舗装として使われている間はCO2を固定し、温暖化ガスの発生量を抑えられるためだ。

 リグニンは、木材中で繊維同士を接着する機能を持つ。この特性をうまく引き出せば、アスファルト混合物の品質向上につながる。例えば、耐流動性や耐候性を高め、わだち掘れや、紫外線による劣化を抑制できる可能性がある。

 大成ロテックの試算によると、クラフトリグニンの単価は将来、石油アスファルトよりも約1割安くなる。バイオアスファルト混合物の製造コストは、通常のアスファルト混合物よりも2.5%程度下がる見込みだ。

 原油のほとんどは輸入品で、石油アスファルトも一部輸入している。地政学的リスクを伴うため、価格が安定しなかった。環境への負荷を抑えつつ、道路の維持と整備に必要な量のアスファルトを安定的に確保する上で、原油に由来しない材料が求められていた。

 日本製紙は、アスファルトの代替材に適するようリグニンを改質する。大成ロテックは、できるだけ多くのクラフトリグニンをアスファルトと置換する技術の開発に取り組む。加えて、合材工場で試験的に製造するための体制を整える。

 実用化段階になれば、まず歩道で試験的に適用し、市町村道や国道、高速道路へと展開を図る計画だ