応用地質は、けん引式の電気探査測定器「オームマッパー」を改良して、河川堤防の弱点部分を効率的に可視化する手法を開発した(写真1)。川の水が堤防背後から噴出する「パイピング」の原因となる法尻付近の脆弱な地盤構造を詳細に把握できる。
オームマッパーは、電極の役目を果たすケーブルでつないだ送信機と受信機をけん引するだけで地盤内を探査できる機器だ。送信機と受信機の間隔が大きいほど、探査の深度が深くなる。ただし、ケーブルを縮められる間隔には限界があった。そのため、地表から1.5mまでの浅部のデータを十分に取れなかった。
そこで、ケーブルの代わりにシリンダー電極を採用。シリンダー電極の長さは30cmと短いため、従来型と比べて送信機と受信機の間隔を狭められ、深度1.5mより浅い地盤のデータを取得できるようになった。
シリンダー電極は円筒状のため、引きずると左右に動く。そこで、受信機と送信機の下に板を装着して安定性を高めた。さらに、1回の測定で複数の深度の地盤を把握できるよう受信機を増やした。