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 建設技術研究所はVR(仮想現実)の制作が得意なエドガ(東京都江戸川区)の協力を得て、橋梁の点検を疑似体験する社内研修用のVRコンテンツを開発した(図1)。国土交通省が管理する鋼製の鈑桁橋を対象に、360度カメラで撮影した画像を見ながら損傷の箇所や度合いなどを確認する。

図1■ 現実の橋梁点検を疑似体験
図1■ 現実の橋梁点検を疑似体験
桁下での点検の疑似体験で表示される画像(資料:建設技術研究所、エドガ)
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 VRのヘッドセットには、米オキュラス(Oculus)の「Oculus Quest(オキュラスクエスト)」を使う。起動すると、現地の橋面の画像が映り、グーグルマップのストリートビューのように少しずつ移動しながら点検を疑似体験する仕組みだ。橋上4カ所、橋台横2カ所、桁下24カ所へ移動できる。移動先で首を振れば、360度のカメラで撮影した画像を見ることができる。

 VRコンテンツでは、10カ所の著しい損傷を見つける。損傷がある箇所の近くに来ると、画面に「損傷2カ所を探してください」といった文字が表示される。損傷箇所を見つけてクリックすると、そこの拡大写真とクイズが出る。

 クイズでは国交省の橋梁定期点検要領に基づいて、a、b、c、d、eの最大5段階で損傷程度を答えてもらう。10問を解き終えると、最後には成績が出てくる。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、2020年度に現場で研修を開催するのは難しいと予想された。そこで「VRを使った橋梁定期点検の疑似体験を通じて、基礎技術を習得できないかと考えた」。建設技術研究所インフラマネジメントセンターの山根立行次長は、こう振り返る。

 20年11月には建設技術研究所で社内研修を実施。体験者が見ている画面はミラーリングでiPadの端末に映せるため、参加したベテラン技術者が助言できた(写真1)。

写真1■ VRのヘッドセットとコントローラー、ミラーリング用のiPad(写真:建設技術研究所)
写真1■ VRのヘッドセットとコントローラー、ミラーリング用のiPad(写真:建設技術研究所)
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 もともと同社が社内研修向けに制作したVRだったが、社外からの技術者の育成用コンテンツに使いたいという声が出てきた。開発したVRコンテンツを活用して、海外の維持管理技術者の育成などにも展開していく方針だ。