全747文字

 鹿島中日本高速道路会社は、道路橋床版の補強・補修工事で、超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC)を現地で製造して打設する工法を共同開発した(写真1)。鉄筋を使わず薄層でありながら、高い耐久性を確保できる。床版の増し厚を抑えられるため、下部構造の補強などは不要だ。耐用年数は防水工を施す前提で100年とみる。

写真1■ 実証実験でコンクリート床版にUHPFRCを打設している様子。実現場を想定し、劣化が進んだコンクリート床版の一部をはつった後の鉄筋が露出した状態を再現した。UHPFRCは極めて緻密なセメント系材料を繊維で補強している。水結合材比は15%程度だ。UFCで必須の蒸気養生は行わず、通常の現場養生で事足りる(写真・資料:鹿島)
写真1■ 実証実験でコンクリート床版にUHPFRCを打設している様子。実現場を想定し、劣化が進んだコンクリート床版の一部をはつった後の鉄筋が露出した状態を再現した。UHPFRCは極めて緻密なセメント系材料を繊維で補強している。水結合材比は15%程度だ。UFCで必須の蒸気養生は行わず、通常の現場養生で事足りる(写真・資料:鹿島)
[画像のクリックで拡大表示]

 使用するUHPFRCは、プレキャスト(PCa)部材として適用される超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を、現場打ちに適した仕様に改良した補修・補強材だ。床版と同じ勾配を保って施工できる低流動の性質を持つ。特殊なだれ止め材の添加量を勾配に応じて調整し、専用のミキサーでかくはんする。最大12%の道路勾配に対応できる。

 コンクリート床版では上面のコンクリートの劣化部を除去した後に、UHPFRCを打ち込む。鋼床版では、アスファルト舗装の一部(基層)をUHPFRCに打ち換えればよい(図1)。いずれの工法も、床版の増し厚量を最小限に抑えられる。

図1■ 床版の増し厚を最小限に
図1■ 床版の増し厚を最小限に
鉄筋コンクリートの中空床版(左)と鋼床版(右)にUHPFRCを打設してリニューアルするイメージ(資料:鹿島)
[画像のクリックで拡大表示]

 既設床版の更新では主に、一般的な強度のコンクリートを鋼繊維で補強したSFRCが使われている。しかし、床版の厚さが増すため、路面高の調整や、橋梁下部の補強などの追加工事が発生するという課題があった。補修部分の再劣化も指摘されている。

 鹿島の試算では、単位体積当たりの材料費はSFRCよりも割高だ。その代わり、施工数量が減るため、その差は相殺される。高耐久なので、維持管理や再補修を含めたライフサイクルコストで有利なことも大きな利点だ。

 高速道路の大規模更新・修繕ではSFRCの使用を計画している橋梁が数多くある。それらの工事に対し、開発した技術を提案していく。