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 ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京都中央区)は、障害物を自動で回避するインフラ点検用ドローン「Skydio R2 for Japanese Inspection(J2)」を米スカイディオと共同で開発した(写真1)。橋の対傾構の部材間など幅・高さが1mに満たない隙間でも、安全に飛ばせる(写真2)。

写真1■ 開発した「Skydio R2 for Japanese Inspection」。バッテリーを含めた機体の重さは775gで、航続時間は約23分。タブレット端末で操縦できる。機体前方の可動式カメラで点検対象を撮影し、上下に搭載する計6つのカメラで自機の位置を把握する。バッテリーは磁石による着脱方式を採用。万が一墜落した際は簡単に外れ、衝突される側への衝撃を和らげる(写真:日経クロステック)
写真1■ 開発した「Skydio R2 for Japanese Inspection」。バッテリーを含めた機体の重さは775gで、航続時間は約23分。タブレット端末で操縦できる。機体前方の可動式カメラで点検対象を撮影し、上下に搭載する計6つのカメラで自機の位置を把握する。バッテリーは磁石による着脱方式を採用。万が一墜落した際は簡単に外れ、衝突される側への衝撃を和らげる(写真:日経クロステック)
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写真2■ 橋の床版下面を飛行する様子。管路や対傾構が密に配置された狭い空間でも難なく飛行できる(写真:ジャパン・インフラ・ウェイマーク)
写真2■ 橋の床版下面を飛行する様子。管路や対傾構が密に配置された狭い空間でも難なく飛行できる(写真:ジャパン・インフラ・ウェイマーク)
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 近年、インフラ構造物の点検にドローンを活用する上で、課題として挙がるのが飛行の安全性だ。橋の下といったGNSS(衛星を用いた測位システムの総称)の電波が届かない場所では手動で操縦するため、障害物に衝突して墜落する恐れがある。熟練の操縦技術が必要だった。

 J2は、機体の上部と下部にそれぞれ3つの魚眼カメラを搭載し、全方位を常に撮影する。その映像を基に、内蔵する人工知能(AI)が即座に3次元地図を作製。自機と障害物との距離を計測する。障害物に50cm程度まで近づくと、ホバリングしたり経路を変更したりして自動で衝突を避ける。機体は約25cm四方と小型で、狭い空間にも難なく入り込める。

 このような一連の技術「Visual SLAM」を搭載したドローンは、これまでも製品化されている。ただし、膨大なデータを高速で処理するため、映像の解像度を落として3次元地図を作るのが一般的で、木の枝など目立たない障害物や突起物を見落とす場合がある。近づける距離は、障害物から1.5~2m程度が限度だった。一方、J2は高解像度を保って3次元地図を生成できる。

 機体前方に装備する4K画質のカメラは上下に180度可動し、床版の裏面でも点検しやすい。リアルタイムで送られる映像上で見たい箇所に触れると自動で近づく機能を持つ。

 J2は、スカイディオが2019年10月に発表したドローン「Skydio2」を改良している。Skydio2は、山の中を高速で移動する自転車やバギーを自動で追尾して選手の顔などを認識し、撮影する屋外スポーツ用に使われていた。JIWはドローンによる橋などの点検サービスで蓄積してきたノウハウを生かして、カメラの可動範囲やセンサーの感度を調整して、J2を完成させた。

 両社は20年1月に、J2を橋梁点検に用いる独占パートナーシップ契約の締結を発表した。