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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)竹中工務店中央大学は、地下の掘削工事で生じる土砂を地上に自動搬送するロボットの試作機を共同で開発した。2020年6月末までに試作機で実験する。土砂搬送能力の目標値は、大型重機と同等以上の1時間当たり40~45m3だ。ICT重機や自動運転による掘削工事の自動化で、生産性を従来の約3倍まで高める効果を見込む。

 2種類の筋肉の動きによって収縮と弛緩を繰り返す「腸のぜん動運動」を、人工筋肉とゴムチューブを組み合わせたポンプで機械的に模倣している。3者によると流動性の低い土砂の搬送に適用できるぜん動ポンプの開発は、世界初だ。

 掘削工事は一般に、「地下部での掘削」「地下から地上への土砂の揚重」「処分場への土砂運搬」の3つの作業から成る。土砂搬送ロボットの導入は、このうち2番目の工程だ。

大深度で掘削した土砂を揚重するには大型重機と、それを支える強固な作業台が必要となる(図1)。土砂搬送ロボットを使えば、仮設の工期やコストを抑えられる。

図1■ 大型重機用の仮設を軽減できる
図1■ 大型重機用の仮設を軽減できる
土砂搬送ロボットを建築の施工現場で適用する際のイメージ。左が従来の大型重機を用いた場合(資料:新エネルギー・産業技術総合開発機構、竹中工務店、中央大学)
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 土砂搬送ロボットは、ぜん動ポンプのユニットを連結させて構築する。大型重機の場合、ワイヤの長さなどの制約によって土砂を揚重できる深さは最大70m程度だった。しかし、ロボットならば自由に搬送経路を設計できるので、理論上の限界はない。

 ぜん動ポンプのユニットは外側が人工筋肉、内側がゴムチューブになっている。フランジで接合し、2種のゴム素材の間に空気チャンバーを形成する(写真1)。チャンバーに空気圧をかけると、腸のぜん動運動のように人工筋肉が断面方向に膨張し、軸方向に収縮する。同時にゴムチューブが収縮して管路を閉塞する仕組みだ。人工筋肉には軸方向に補強繊維を内包したタイプを採用した。

写真1■ 土砂搬送ロボットの試作機。ぜん動ポンプのユニットを連結させている。左が小型機。右の大型機のユニットは内径114mm、最大外径228mm(写真:新エネルギー・産業技術総合開発機構、竹中工務店、中央大学)
写真1■ 土砂搬送ロボットの試作機。ぜん動ポンプのユニットを連結させている。左が小型機。右の大型機のユニットは内径114mm、最大外径228mm(写真:新エネルギー・産業技術総合開発機構、竹中工務店、中央大学)
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 空気圧をかける機構は分散して設置するため、深さに関係なく一定の搬送効果を得られる。ぜん動ポンプの制御プログラムとインターフェースも合わせて開発した。