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 鹿島は、シールドトンネル工事のトラブルを未然に防ぐため、地盤変状などのリスクを自動で検知するシステムを開発した(図1)。シールド掘進中に得られる大量の施工データを統計処理し、リスクがある場合に警報で知らせる。熟練の技術者やオペレーターが担ってきたリスク管理を自動化し、経験の浅い担当者でもトラブルを回避できるようにする。

図1■ 改善すべき対策や警告をモニターに表示
図1■ 改善すべき対策や警告をモニターに表示
開発したシステム「カジマ・シールド・ジャッジ・アナウンス・システム(KSJS)」のモニター表示例(資料:鹿島)
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 地中の土圧やセグメントの位置、掘削土量、掘進負荷など、約200項目に及ぶデータの変動状況を分析し、トラブルの発生リスクを点数化する。

 「地盤変状」「掘進不能」「セグメント損傷」「線形逸脱」などのリスクに対し、程度に応じて2段階で警報を出す(図2)。データは約10秒ごとに統計処理し、その結果を社内の中央管理室やシールド機の運転席の操作モニターに表示する。

図2■ 警告時はコメントも
図2■ 警告時はコメントも
リスクの程度に応じて、黄色と赤色の2段階で警報を表示。対応策も提示する(資料:鹿島)
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 システムは、熟練のオペレーターの経験に基づいて構築した。操作履歴や監視時の視線を事前に分析してモデル化。施工データの変動状況と操作モデルが一致しない場合に、改善すべき対策や警告をモニターに表示する。

 例えば、セグメント1リング分の掘削土量がそれまでの20リングから計算した標準偏差1σを超過した場合、地盤変状の項目が黄色く点灯。「掘削土量が増加(減少)しています。排土制御を見直してください」といった対応策を提示する。さらに、次のリングの掘削でも同様の傾向が続けば、同項目は赤く点灯。「排土量や変位量を確認してください」といった警告コメントを出す。

 泥水式シールドでは、東京都大田区における下水道連絡管工事において開発したシステムの有効性を確認した。泥土圧式シールドでは、茨城県東海村で2020年10月まで実施するガス導管工事に適用している。

 鹿島は、23年度にシールド工事の全自動化を目指す。