全843文字

 大成建設は、打設すればするほど大気中の二酸化炭素(CO2)を減らせるカーボンリサイクル・コンクリートを開発した(写真1)。CO2を原料とした炭酸カルシウムの粉末を使うことで、コンクリートの製造過程で排出されるCO2の量を上回る固定効果を発揮する。コンクリートの打設量1m3につき、5~55kgのCO2が大気中から減る。

写真1■ 左は、カーボンリサイクル・コンクリートの供試体。右は同じコンクリートで造った石材調建材の加工例。生コン工場の通常の設備で製造が可能だ(写真:大成建設)
写真1■ 左は、カーボンリサイクル・コンクリートの供試体。右は同じコンクリートで造った石材調建材の加工例。生コン工場の通常の設備で製造が可能だ(写真:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 工場の排出ガスなどから回収したCO2を原料とした炭酸カルシウムをコンクリートに混ぜると、コンクリート1m3当たりで70~170kgのCO2を固定する効果がある。同社によると、地中や海底などにCO2を封じ込めるCCSに匹敵する固定量だ。

 普通コンクリートの製造過程でのCO2排出量は、1m3当たり250~330kg。これは、炭酸カルシウムによる固定量を上回る。ただし同社はセメントを使わずに高炉スラグ主体の結合材で固化させる「環境配慮コンクリート」の技術を保有しており、普通コンクリートと比べて排出量を8割ほど減らせる。これに炭酸カルシウムによる固定を組み合わせて、CO2の吸収を実現した。

 従来、コンクリートを練り混ぜる過程でCO2を吸収する技術があった。ただしコンクリートのアルカリ成分が中和され、鉄筋がさびる恐れがあった。大成建設のコンクリートは弱アルカリ性の炭酸カルシウムを混ぜ、高炉スラグを足して強アルカリ性にするため、鉄筋の腐食を防げる(写真2)。

写真2■ 開発したコンクリート供試体の切断面。右はpH指示薬を噴霧した。変色は強アルカリ性を示す(写真:大成建設)
写真2■ 開発したコンクリート供試体の切断面。右はpH指示薬を噴霧した。変色は強アルカリ性を示す(写真:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 他にも、空隙を増やしたコンクリートにCO2を吸着させる技術があったものの、強度が低下するために使いづらかった。今回、開発したコンクリートの圧縮強度は20~45N/mm2、スランプは15cm、スランプフローは60cmと、普通コンクリートと同等の特性を持つ。

 CO2を原料とした炭酸カルシウムのカーボンリサイクル品はまだ市場に出回っていない。そのため今回の開発では、石灰石を焼成して出た炭酸ガスから作った代替品の炭酸カルシウムを使った。