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 鹿島は4足歩行型のロボット「Spot(スポット)」をトンネルの工事現場へ導入。坑内の監視や点検の役割を担えると確認した(写真1)。同社によると、土木工事での現場適用は世界初の試みだ。自律歩行するため、現場監督に代わって巡回などをこなせる可能性がある。

写真1■ トンネルの工事現場に導入した4足歩行型のロボット「Spot」。稼働時間は最長90分。サイズは幅50cm、長さ1m10cm、高さ19.1cmで、立ち上がった状態での高さは84cm。重量は28kg(写真:鹿島)
写真1■ トンネルの工事現場に導入した4足歩行型のロボット「Spot」。稼働時間は最長90分。サイズは幅50cm、長さ1m10cm、高さ19.1cmで、立ち上がった状態での高さは84cm。重量は28kg(写真:鹿島)
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 Spotを開発したのは、世界でも最先端のロボット技術を保有する米国のボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)だ。日本国内での管理と運営をソフトバンクロボティクスが担う。両社と鹿島の協業で建設現場へ適用した。

 開発したロボットはまるで生き物のように4本の足を動かし、あらかじめ設定したルートを歩行する。岩場や荒れ地も歩け、傾斜角度30度、段差30cmまでなら階段も昇降できる。平たんな場所は毎秒1.6m、階段は毎秒0.6mの速度で、障害物を回避しながら移動する。

 胴体と足には、ステレオカメラを標準で装備している。本体上部には15kgを上限に、様々な機器をアタッチメント(付属品)として取り付けられる。

 稼働時間は最長90分。リモコンによる遠隔操作で歩かせてルートを設定しておけば、自律歩行する。事前の設定次第では、自動で写真も撮影できる。通信環境が整っていれば、現場事務所など離れた場所からでも操作が可能だ。

 本格導入に先立ち、2018年11月に施工中のトンネルで実証実験を行った。自律歩行で坑内を巡視し、ポンプメーターなどの計器類を点検。さらに、特殊カメラ(360度カメラ)を本体上部に取り付け、制御室からの遠隔操作で切り羽の写真を撮影した(写真2)。

写真2■ 2018年11月に実施した実証実験の様子。土木工事現場に「Spot」を適用できるか否かを確かめ、課題を洗い出した。30m離れた場所から遠隔操作で撮影した(写真:鹿島)
写真2■ 2018年11月に実施した実証実験の様子。土木工事現場に「Spot」を適用できるか否かを確かめ、課題を洗い出した。30m離れた場所から遠隔操作で撮影した(写真:鹿島)
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 トンネル工事では、崩壊や出水などの危険を予測するのに切り羽の観察が欠かせない。現状は現場の担当者が毎日、撮影している。ロボットが撮影できれば、安全性は増す。

 特殊カメラの他にも複数のアタッチメントの採用を予定する(写真3)。例えば、現場の可視化や出来形管理に役立てるためにレーザースキャナーを搭載する予定だ。

写真3■ Spotは国際電気標準会議(IEC)の定める規格の防水・防じん性能を有している。胴体と足にステレオカメラを標準装備。本体上部に様々な機器を取り付け、用途に合った機能を付け加えられる。写真は何も取り付けていない状態(写真:鹿島)
写真3■ Spotは国際電気標準会議(IEC)の定める規格の防水・防じん性能を有している。胴体と足にステレオカメラを標準装備。本体上部に様々な機器を取り付け、用途に合った機能を付け加えられる。写真は何も取り付けていない状態(写真:鹿島)
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 長いアームを取り付ければ、立ち上がってドアノブを開けることも可能になるという。どんな使い方ができるのか、ユニークなロボットに土木分野以外の業種でも関心が高まっている。

 実証実験ではバランスを崩す場面があったため、足場が悪い場所でも安定して歩行できるように改良。19年12月からトンネルの現場に導入したSpotは、ぬかるみや雪の上など悪路での走行性を高めている。